出版書誌データベース

モンゴルの基幹産業である遊牧に甚大な影響をもたらす自然災害〈ゾド〉について、特に被害を受けやすいゴビ地域を事例とした実証的な研究を行う。ゾド発生時の頭数減少、ゾド発生後の頭数回復および、ゾド発生後の牧民の職業変化などを明らかにする。

第1章　背景・目的
　1．はじめに
　2．モンゴルの主要な生業かつ基幹産業でもある遊牧に悪影響をもたらすゾド
　3．本研究の目的と構成
　4．ゾドによる被害を分析した先行研究の成果と課題
　5．本書の構成

第2章　調査対象
　1．モンゴル
　2．遊牧
　3．ゴビ地域
　4．乾燥地の放牧地利用のあり方に関する歴史的経緯

第3章　理論枠組み
　1．資産に基づくアプローチ
　2．牧畜民の自然災害への脆弱性分析に資産に基づくアプローチを用いた主要先行研究
　3．本研究で用いた理由

第4章　調査方法
　1．調査地域の選定
　2．調査地域の特徴
　3．調査の時期や実施者などの概要
　4．サンプリング
　5．調査の実施
　6．調査項目

第5章　調査結果
　1．調査世帯・地域
　2．家畜頭数
　3．牧民
　4．現金所得、現金消費支出、自家消費
　5．職業変化
　6．牧畜から離れた世帯の生活変化

第6章　分析結果①：ゾド発生時の頭数減少に関する分析
　1．ゾド発生時の頭数減少に関する先行研究の課題と本章で目指す到達点
　2．ゾド発生時の頭数減少に関する分析方法
　3．ゾド発生時の頭数減少に関する分析結果
　4．ゾド発生時の頭数減少に関する考察
　5．本章で目指した到達点を踏まえた成果
　6．本章の課題と今後の展望

第7章　分析結果②：ゾド発生後の頭数回復に関する分析
　1．ゾド発生後の頭数回復に関する先行研究の課題と本章で目指す到達点
　2．ゾド発生後の頭数回復に関する分析方法
　3．ゾド発生後の頭数回復に関する分析結果
　4．ゾド発生後の頭数回復に関する考察
　5．本章で目指した到達点を踏まえた成果
　6．本章の課題と今後の展望

第8章　分析結果③：ゾド発生後の牧民の職業変化に関する分析
　1．ゾド発生後の牧民の職業変化に関連する先行研究の課題と本章で目指す到達点
　2．ゾド発生後の牧民の職業変化に関する分析方法
　3．ゾド発生後の牧民の職業変化に関する分析結果
　4．ゾド発生後の牧民の職業変化に関する考察
　5．本章で目指した到達点を踏まえた成果
　6．本章の課題と今後の展望

第9章　結論と政策的示唆
　1．結論
　2．政策的示唆の考察
　3．まとめ

第10章　牧民の危機回避行動と回復行動に関する研究の進捗と今後の展望
　1．ゾド発生時の回避行動
　2．ゾド発生後の回復行動
　3．今後の展望

　参考文献
　用語集
　付表
　謝辞
　本書と学術誌に掲載された個別論文との関係
　索引

著：中村　洋
1975年、山口県下松市に生まれる。大阪大学工学部応用自然科学科卒業後、地球・人間環境フォーラムの研究員（2001年～）として、2004年よりモンゴルやアフリカの乾燥地における砂漠化対処に関する調査・研究・国際協力プロジェクトに従事。社会人大学院生として2019年、法政大学大学院政策科学研究科博士後期課程修了。博士（政策科学）。2019年より山陽小野田市立山口東京理科大学講師。専門は地域研究。
主要論文は、“The Impact of a Disaster on Asset Dynamics in the Gobi Region of Mongolia: An Analysis of Livestock Changes”（共著、Journal of Development Studies 、2017年）。