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アメリカに生きるユダヤ人の歴史 上

アメリカへの移住から第一次世界大戦後の大恐慌時代まで

著:ハワード・モーリー・サッカー
訳:滝川 義人

紙版

内容紹介

17世紀半ば以降約335年間にわたるアメリカにおけるユダヤ人の運命と宿命の年代記。それは単に移民・マイノリティの歴史を超えてアメリカ自体の歴史そのものといえる。上巻はユダヤ人難民が初めてアメリカに上陸したときから第一次世界大戦後の大恐慌の時代までを描く。

目次

プロローグ
 マイヤーズ家の軌跡

第一章 南北アメリカの足掛かり
 南米へ移ったスファルディ社会
 不安定な北米の橋頭堡
 ユニオンジャック下で得た安全な暮らし
 商人社会の形成
 独立戦争とユダヤ人の動向
 ユダヤ人解放の予見
 アメリカに呑みこまれて――少数民族としてのユダヤ人

第二章 アメリカ・ユダヤ人社会のドイツ化
 中部ヨーロッパの激動とユダヤ人流出
 政治ステータスの向上を目指して
 社会の目に映るユダヤ人像
 フロンティアへ
 サンフランシスコの“成功者達”
 先祖の伝統とアメリカ社会
 文化的アイデンティティのための戦い
 ユダヤ人統合のキメラ(異種合体性)

第三章 ドイツ系ユダヤ人のアメリカ化
 南北戦争と土着化
 北部におけるユダヤ人いじめ
 自衛の予見
 衣料産業と商人銀行家
 繁栄と事業の組織化
 文化的創造性の受容とアメリカ社会
 ユダヤ人拒否の予見
 イサーク・M・ワイズのアメリカ化
 ユダヤ教のアメリカ化
 文化的変容の代償

第四章 なだれこむ東欧のユダヤ人
 スラブ圏の動揺とポグロム
 出奔のトラウマ
 殺到する“野蛮人”
 通過儀礼
 移民急増とその受け入れ
 大都会から田舎へ

第五章 移民都市における生存闘争
 都市化のトラウマ
 能力と仕事のミスマッチ
 賃金奴隷の悲哀
 ユダヤ人救援組織の活動
 アメリカ化と慈善事業
 移民児童の教育
 我等の娘達の恥――売春婦の問題
 ゲットーと犯罪

第六章 移民世界における社会的文化的醸成
 過激主義のアメリカ移植
 労働運動の主導権をめぐる闘争
 大いなる反乱――ユダヤ人女工哀史
 正統派移民の危機
 組織化過程の混乱
 移民共同体の出現
 イディッシュ文化と新聞
 イディッシュ文学の爆発的人気
 イディッシュ演劇の隆盛
 アメリカ化の予見

第七章 第一次世界大戦前後のドイツ系ユダヤ人の意識
 少数派の左翼運動
 ヨーロッパのユダヤ人に対するヘイ国務長官の仲介
 ロシアの専制政治対ユダヤ人有力者
 米露通商条約反対運動
 戦時下窮乏ユダヤ人救援キャンペーン

第八章 第一次世界大戦とアメリカのユダヤ人
 大戦とドイツに対する郷愁
 愛国主義の挑戦
 初期シオニズムの登場
 ブランダイスとアメリカ・シオニズムの変容
 ナショナルホームのコンセンサスづくり
 アメリカ・ユダヤ人会議の創立とアメリカ・ユダヤ人委員会
 パリ平和会議とユダヤ人代表団の主張
 ロシア・ポーランド戦の犠牲になったユダヤ人の惨状と救援

第九章 アメリカの人種主義とユダヤ人
 “国際金融”とアメリカの反ユダヤ主義
 カルチャーショックと“優生学”
 門戸開放の危機
 ガルベストン計画
 過激主義と反動

第一〇章 閉じる黄金の扉
 コンリー事件――移民排斥運動の再発
 デマの政治学
 “国際ユダヤ人”
 ダビデ対産業界のゴリアテ
 移民制限主義政策の勝利
 閉じる国内の扉
 ハーバード大学のユダヤ人学生入学制限

第一一章 硬直した移民政策のひび割れ
 中部ヨーロッパ系の上昇
 近東スファルディ系ユダヤ人の流入
 崩れ去るゲットーの壁
 ギャングと酒商売
 リードする大衆文化――歌曲と舞台
 リードする大衆文化――映画産業
 ブロードウェーとハリウッド――大衆文化の創造
 郊外へ

第一二章 アメリカ化の文化
 滅びゆくイディッシュ語と文化
 ビジョンと現実――集団の文化変容
 世代間の衝突
 ユダヤ教正統派の迷走
 改革派と社会的受容性
 説教壇のラビ
 伝統の回復――ユダヤ教保守派
 ユダヤ的教育の活性化
 脱宗教のアイデンティティ
 大学世代のアイデンティティ危機
 心の平穏とアイデンティティを求めて
 多様性の是認

第一三章 大恐慌時代
 壊滅的打撃を受けたアメリカのユダヤ人
 ロシア革命経験者の政治動向
 恐慌とユダヤ人過激左派
 知識人の反抗
 演劇と映画界の“反ファシズム”
 ニューディールとユダヤ人ステータスの復活
 反ユダヤ主義の蘇生
 自衛の論理
 労働組合の戦い

 ユダヤ人組織一覧
 参考文献
 索引

著者略歴

著:ハワード・モーリー・サッカー
欧米、中東のユダヤ史を専門とする研究者。リトアニアからの移民3代目としてセントルイスに生まれ、スワスモア・カレッジ卒業、ハーバード大学で博士号取得。ジョージ・ワシントン大学名誉教授、ブランダイス大学ハイアット研究所(エルサレム)初代所長、ヘブルー・ユニオンカレッジより名誉博士号を授与さる。欧米、中東のユダヤ史に関する主要著書は本書を含め16冊、いずれも大作である。『イスラエルの歴史 全2巻』(A History of Israel,1976, 1987)、『さらばスペイン――スハルディ系ユダヤ人の追憶世界』(Farewell España: The World of the Sephardim Remembered, 1994)、『幻想の大地――第1次大戦後のヨーロッパ人とユダヤ人』(Dreamland: Europeans and Jews in the Aftermath of the Great War, 2002)、『ディアスポラ――現代ユダヤ人世界の探求』(Diaspora: An Inquiry into the Contemporary Jewish World, 19…
訳:滝川 義人
ユダヤ、中東研究者。長崎県諫早市出身、早稲田大学第一文学部卒業、元駐日イスラエル大使館チーフインフォメーションオフィサー。
主要著書:『ユダヤ解読のキーワード』(新潮社、1998年)
主要訳書:キャロル・リトナー編『ホロコーストの記憶――エリ・ウィーゼルが問うもの』(サイマル出版会、1990年)、アブラハム・レビン『涙の杯――ワルシャワゲットーの日記』(影書房、1993年)、マーチン・ギルバート『ホロコースト歴史地図――1918-1948』(東洋書林、1995年)、デボラ・E・リップシュタット『ホロコーストの真実――大量虐殺否定者たちの噓ともくろみ』(上下)(恒友出版、1995年)、ロベルト・S・ヴィストリヒ編『ナチス時代ドイツ人名事典』(東洋書林、2002年)、アブラム・レオン・ザハル『ユダヤ人の歴史』(明石書店、2003年)、ウリ・ラーナンほか編『イスラエル現代史』(明石書店、2004年)、クローディア・クーンズ「ナチと民族原理主義」(青灯社、2006年)、ジョアン・コメイ『ユダヤ人名事典』(東京堂出版、2010年)、アモス・エロン『ドイツに生きたユダヤ人…

ISBN:9784750349862
出版社:明石書店
判型:4-6
ページ数:928ページ
価格:8800円(本体)
発行年月日:2020年04月
発売日:2020年04月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JBF