「シリーズ・子どもの貧困」刊行にあたって[松本伊智朗]
はじめに――本書の構成[松本伊智朗・湯澤直美]
序章 なぜ、どのように、子どもの貧困を問題にするのか[松本伊智朗]
1 貧困問題と民主主義
2 貧困の理解と発見・再発見
3 貧困の概念
4 子どもの貧困と家族
第Ⅰ部 子どもが生まれてくる社会
第1章 生活の基盤は安定しているか(1)――雇用・労働、賃金[川村雅則]
1 新自由主義改革と、労使(資)間の分配構造の変化
2 雇用はどう変わったか――90年代後半以降の労働市場の変化
3 賃金はどうなったか――崩れる日本型生活保障と、低賃金雇用の拡大・顕在化する貧困
4 働き続けられる環境は整備されたのか――長時間・過密労働と男女平等の現実
第2章 生活の基盤は安定しているか(2)――所得・社会保障[山内太郎]
1 稼働年齢世帯の所得状況
2 生活が不安定になるほど機能しない社会保険
3 社会手当という制度の曖昧さと児童手当の低い支給金額
4 規範的選別機能を持つ生活保護
第3章 子どもの育ちを支える保育士の現状――保育労働の変容がもたらすもの[小尾晴美]
1 保育士の労働条件の現状
2 なぜ保育士の労働条件が悪化したのか
3 保育労働の変容が保育環境になにをもたらすか
第4章 子どもをケアする時間の格差[大石亜希子]
1 人々の働き方はどう変化したか
2 子どもをケアする時間の意味と格差
3 先行研究
4 生活時間配分の変化と格差
5 親の就業時間帯の違い
6 子どもが親と過ごす時間の保障を
第Ⅱ部 子育ての場としての家族
第5章 近代家族の特質と女性の隠れた貧困[丸山里美]
1 近代家族と女性の貧困
2 貧困に陥るリスク
3 経済的暴力
4 世帯内での資源配分
5 税・社会保障制度の世帯内の個人への影響
第6章 ひとり親世帯の貧困――所得と時間[鳥山まどか]
1 所得の貧困と時間の貧困
2 ひとり親世帯の生活――北海道ひとり親家庭生活実態調査から
第7章 妊娠・出産と貧困[鈴木佳代]
1 妊娠・出産という「選択」と自己責任言説
2 妊娠・出産・育児にまつわるコスト
3 子どもを産み育てることを助ける社会的資源
4 なぜ貧困にある女性の妊娠・出産・育児は困難さが増すのか?
第8章 貧困と虐待・ネグレクト――国家と家族と子育てと[杉山春]
1 無力さとは何か
2 経済力、消費者金融
3 報道について
4 国家と家族と子どもたち
第9章 「家庭教育」の意味すること――個人/家族/国家の関係を考える[辻智子]
1 法律に見る家庭教育
2 創出される「家庭教育」意識
3 家庭教育とはいかなる国家政策か
4 家庭教育振興政策の危うさと現在地点
第Ⅲ部 子どもの貧困対策と社会
第10章 指標から見る子どもの貧困[阿部彩]
1 貧困の測定の意義
2 貧困統計の解釈
3 貧困指標の比較の罠
4 貧困指標
5 貧困測定から貧困政策へ
第11章 子どもの貧困をめぐる報道と社会意識[中塚久美子]
1 子どもの貧困報道
2 社会意識とメディア
3 お金・制度的問題への着目
4 報道の課題
第12章 子どもの「声」と子どもの貧困――子どもの権利の視点から[長瀬正子]
1 失われる「声」
2 「声」をいかに支えるのか――大人と社会に求められるもの
「本当の貧困探し」のわな――あとがきにかえて[松本伊智朗]