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エリア・スタディーズ 53

北朝鮮を知るための55章

第2版

編著:石坂 浩一

紙版

内容紹介

米朝首脳会談後、世界が最もその動向に注目している北朝鮮とはいったいどんな国なのか。なせ朝鮮戦争の終結にこだわるのか? 北朝鮮の歴史・政治・経済・社会・文化・外交を、最新の研究と客観的な分析を踏まえ55章に分けて解説する最新の北朝鮮入門書。

目次

 はじめに

序章 2018年以後の展開――後戻りのきかない平和の時代へと私たちは入りつつある(石坂浩一)

第Ⅰ部 北朝鮮を理解するために(石坂浩一)

第1章 なぜ朝鮮半島では冷戦が続くのか――東アジアの冷戦終結のために
第2章 北朝鮮はじきに崩壊するのか――外からの圧迫は団結を促す
第3章 北朝鮮の核兵器の実態は――核保有を招いた歴代米政権
第4章 北朝鮮のミサイルの実態は――交渉力強化が目的
第5章 東北アジアにおける危機と可能性――2017年を顧みる

第Ⅱ部 北朝鮮国家の歴史(石坂浩一)

第6章 植民地支配と解放、そして二つの政権――分断につながった分割占領
第7章 朝鮮戦争――冷戦下で分断が固定化
第8章 国家社会主義の成立――典型的な社会主義国としての50年代
第9章 自主路線の選択――中ソへの不信感
第10章 社会主義圏の崩壊と90年代核危機――米朝、初の対話へ
第11章 キム・ジョンイルと先軍政治――国防委員会が国家を指導
第12章 キム・ジョンウンの政治体制――朝鮮労働党中心の政治へ回帰

第Ⅲ部 北朝鮮政治のしくみ(石坂浩一)

第13章 社会主義体制と憲法の変遷――指導者により憲法に特徴
第14章 政治の中核、朝鮮労働党――第7回党大会で機能回復
第15章 統治機構 立法・行政・司法――国務委員会が最高指導機関
第16章 政治エリートの構成――頻繁な人事のキム・ジョンウン時代
第17章 朝鮮人民軍と軍事力――旧式兵器に継戦能力も疑問

第Ⅳ部 南北関係と外交関係(石坂浩一)

第18章 北朝鮮の南北統一認識――統一の前提に平和定着
第19章 紆余曲折の南北関係――南北関係安定に期待
第20章 離散家族再会――高齢化する当事者たち
第21章 脱北者と人権問題――圧迫ではなく実質的な改善を
第22章 北朝鮮の外交――162ヵ国と国交
第23章 中国との友好と軋轢――微妙ながら欠かせぬ関係
第24章 米朝交渉の変遷――後戻りのない正常化への期待
第25章 東北アジア非核化への道すじ――地域における合意と国際的な枠組みを重ねて

第Ⅴ部 北朝鮮の経済と暮らし(文浩一)

第26章 地理と自然――変化に富んだ気候と豊かな天然資源
第27章 人口動向と構成――少子高齢化時代への突入
第28章 基本的経済システム――企業責任管理制の導入
第29章 工業化の推進――国防工業優先から民生重視へ
第30章 農業の社会主義的変遷と模索――圃田担当責任制の試み
第31章 社会主義圏の崩壊と経済の破綻――工業の低迷と相次ぐ自然災害
第32章 キム・ジョンイル体制下の経済改革――苦難の行軍から経済の再建へ
第33章 キム・ジョンウン体制下の経済改革――経済建設と核開発の「新しい並進路線」の行方
第34章 都市化と人口問題――緩やかだが確実に進行する平壌への集中
第35章 食糧事情――生産の回復と供給システムの不備

第Ⅵ部 北朝鮮の社会と文化

第36章 北朝鮮の教育――義務教育の延長と高等教育の整備(文浩一)
第37章 IT産業と情報通信――「科学技術強国」をめざして(文浩一)
第38章 住居と交通――インフラの整備と移動の制限(文浩一)
第39章 統制下のメディア――新聞、放送、出版、通信(文浩一)
第40章 環境問題と政策――課題としての山林資源の衰退(文浩一)
第41章 北朝鮮の文学――パルチザン神話から現実課題克服の模索へ(布袋敏博)
第42章 スローガンとしての音楽――革命闘争と体制賛美(山根俊郎)
第43章 北朝鮮の映画――発展の途上から低迷へ(門間貴志)
第44章 新しい「朝鮮画」――主体美論の実践(喜多恵美子)
第45章 北朝鮮のスポーツ事情――国際大会の好成績と政治の存在(大島裕史)

第Ⅶ部 日朝関係と日本の選択(太田修)

第46章 1980年代までの日朝関係――国交樹立の2度のチャンス
第47章 日朝交渉の始まりと経過――未完の交渉
第48章 日朝交渉の課題と日朝平壌宣言――対話の枠組みと精神
第49章 拉致問題とその背景――日朝首脳会談以前
第50章 拉致問題の過程と行方――日朝首脳会談以後
第51章 日朝関係の行き詰まり――衝突の危機
第52章 「帰国問題」の経過と意味――植民地主義と冷戦体制がもたらした離散
第53章 朝鮮総連――民族組織として
第54章 在日朝鮮人の地位と権利――差別の克服をめざして
第55章 日本における交流運動――北朝鮮の人びととよりよい関係をつくるために

 北朝鮮を知るためのブックガイド

 関連略年表

著者略歴

編著:石坂 浩一
1958年生まれ。立教大学異文化コミュニケーション学部准教授。韓国社会論、日韓・日朝関係史。主な著書・訳書に、『日朝条約への市民提言――歴史的責任の清算と平和のために』(共著、明石書店、2001年)、『岩波小辞典 現代韓国・朝鮮』(共編、岩波書店、2002年)、『フレンドリー・コリアン――楽しく学べる朝鮮語』(共著、明石書店、2004年)、『トーキング・コリアンシネマ』(凱風社、2005年)、『北朝鮮は、いま』(監訳、岩波書店、2007年)、『現代韓国を知るための60章【第2版】』(共編、明石書店、2014年)、『祖国が棄てた人びと――在日韓国人留学生スパイ事件の記録』(監訳、明石書店、2018年)などがある。

ISBN:9784750347462
出版社:明石書店
判型:4-6
ページ数:320ページ
価格:2000円(本体)
発行年月日:2019年04月
発売日:2019年04月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB