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エリア・スタディーズ 137

セルビアを知るための60章

編著:柴 宣弘
編著:山崎 信一

紙版

内容紹介

バルカン半島中部の内陸国セルビア。コソボ問題などユーゴ解体後の混乱はまだ未解決な部分があるものの、大きなポテンシャルを有し更なる発展を目指している。東西文明の十字路に位置し様々な側面を持つ国の魅力を、あますところなく伝える概説書。

目次

 はじめに


Ⅰ セルビアってどんな国?

第1章 多様性の国セルビア――地理的特徴と地域の多様性
第2章 セルビアとセルビア人――国内外のセルビア人とマイノリティ
第3章 セルビアとユーゴスラヴィアの複雑な関係――南スラヴ統一国家をめぐって
第4章 セルビアのシンボル――国旗、国章、国歌とその意味
 【コラム1】紙幣にみるセルビア


Ⅱ 歴史

第5章 セルビア人以前のセルビア――東西ローマの境界地域
第6章 中世王国の時代――史実と伝説
第7章 オスマン帝国のバルカン進出――何が変わったか
第8章 セルビア蜂起の展開――独立か自治か
第9章 近代セルビア王国の建設――「大セルビア」か南スラヴの統一か
第10章 第一次世界大戦とセルビア王国――南スラヴの統一に向けて
第11章 パルチザンとチェトニク――内戦としての第二次大戦
第12章 社会主義ユーゴスラヴィアにおけるセルビア――高まる「不平等」への不満
第13章 ミロシェヴィチ政権とナショナリズムの高まり――「統一」の達成とその論理
第14章 連邦解体とユーゴスラヴィア紛争――民族の自決と「セルビア人問題」
 【コラム2】ギリシアの中のヒランダル修道院
 【コラム3】ドナウ川に佇む遺跡


Ⅲ 政治・経済・国際関係

第15章 政治制度の概観、諸政党の概観――現在のセルビア政治
第16章 社会主義からの転換――難航する民営化
第17章 見直される農業――農業立国に向けての期待と課題
第18章 中小企業振興――セルビア経済の鍵を握る中小企業
第19章 紛争とセルビアの責任問題――ICTYとの関係
第20章 コソヴォ問題――錯綜する歴史と現在
第21章 NATO空爆――疑問視される「動機」と「成果」
第22章 10月政変と民主化――2000年以降の政治概況
第23章 対外関係――EUとロシアのはざまで
第24章 存在感を強める中国――経済がおよぼす太い絆
第25章 旧ユーゴスラヴィア諸国との関係――内戦の傷跡を乗り越えて
 【コラム4】シャルガンスカ・オスミツァ――観光鉄道の試み
 【コラム5】ベオグラードの黄色いバス


Ⅳ 多様な地域、多様な人びと

第26章 首都ベオグラード――セルビア/南スラヴの都となった要塞の町
第27章 ヴォイヴォディナ自治州――民族の博物館
第28章 シュマディヤ――セルビアの心臓
第29章 サンジャク地方――ムスリム文化の色濃く残る地
第30章 アルバニア人マイノリティ――プレシェヴォ渓谷
第31章 セルビアに暮らすロマ――ロマ賛歌発祥の地
第32章 ボスニア、クロアチア、コソヴォのセルビア人――マジョリティからマイノリティへ
第33章 セルビア人ディアスポラ――西欧、北米、豪州などへの移民
 【コラム6】ジェルダップ峡谷――多彩な顔をもつ最大の国立公園
 【コラム7】知られざる温泉大国――お薦めの温泉地をご紹介
 【コラム8】気軽に楽しもう、セルビア・ワイン


Ⅴ 社会と生活

第34章 宗教事情――さまざまな宗派と政教関係
第35章 スラヴァ――守護聖人の祝日
第36章 クムとクムストヴォ――家族と並ぶ強い絆
第37章 家族――人の愛をはぐくむところ
第38章 セルビアの衣食住――素朴という美学
第39章 進む教育改革――ボローニャ・プロセスと高等教育
第40章 メディアの状況――多様化と娯楽コンテンツの全盛
第41章 自然と環境――国立公園や環境保護
第42章 セルビア人の姓名――ミリツァを追うサラ、レナ、アナ
第43章 現代の社会問題――女性差別、同性愛差別
 【コラム9】ジョーク大国セルビア
 【コラム10】セルビア俳句雑感


Ⅵ 文化と芸術

第44章 南スラヴの口承文芸――グスラールの世界
第45章 ノーベル賞作家の数奇な後生――イヴォ・アンドリッチ
第46章 セルビア語とその方言――豊かな民族文化の源
第47章 民謡と民族舞踊――村の歌と踊りが、人びとに親しまれる芸術になるまで
第48章 修道院――ビザンティンにつながるセルビア人の心の拠り所
第49章 セルビア映画――パルチザン戦から黒い波、そして混乱
第50章 クラシック音楽と大衆音楽――「オリエント」の受容と拒絶
第51章 セルビアの詩人たち――過酷な歴史に咲いた言葉
第52章 スポーツ――対立の舞台、共生の結晶
第53章 スポーツとしてのチェス――過去の栄光をどう活かすか
 【コラム11】ベオグラードのオーケストラ
 【コラム12】ストイコヴィチ――セルビアのヒーロー、ナゴヤのヒーロー
 【コラム13】ジョコヴィチ――「テニス大国(!?)」セルビアの立役者
 【コラム14】セルビアの野球事情


Ⅶ 日本とセルビアの関係

第54章 日本とセルビアとの交流史概観――支援活動の積み重ね
第55章 ドゥシャン・トドロヴィチ――ロシア語を教えたセルビア人
第56章 ブランコ・ヴケリッチ――日本にやって来たセルビア人
第57章 ベオグラード大学日本学専攻課程とデヤン・ラジッチ博士――日本の心を伝えて
第58章 日本とセルビアの経済関係――潜在性を生かし切れていない分野
第59章 セルビアの花ベララーダ――蚊取線香との意外な関係
第60章 セルビアから見た日本――七人の侍からナルトへ
 【コラム15】音楽を通しての交流
 【コラム16】草の根文化交流50年
 【コラム17】セルビア語を教えて


 セルビアについてさらに知りたい人のための文献案内

著者略歴

編著:山崎 信一
東京大学大学院総合文化研究科・地域文化研究専攻博士課程単位取得。1995~97年、ベオグラード大学哲学部歴史学科留学。現在、東京大学教養学部、東京外国語大学、明治大学文学部非常勤講師。
専攻は旧ユーゴスラヴィアを中心とするバルカン地域の現代史。
主な著書・論文:『アイラブユーゴ――ユーゴスラヴィア・ノスタルジー』(全3巻、共著、社会評論社、2014~15年)、「文化空間としてのユーゴスラヴィア」(大津留厚ほか編『ハプスブルク史研究入門――歴史のラビリンスへの招待』昭和堂、2013年)、「イデオロギーからノスタルジーへ――ユーゴスラヴィアにおける音楽と社会」(柴宜弘ほか編『東欧地域研究の現在』山川出版社、2012年)、「ナショナリズムとユーゴスラヴィア理念の相克――『セルビア・クロアチア語』を中心に」(桑野隆、長與進編著『ロシア・中欧・バルカン世界のことばと文化』成文堂、2010年)、『映画『アンダーグラウンド』を観ましたか?――ユーゴスラヴィアの崩壊を考える』(共著、彩流社、2004年)。

ISBN:9784750342511
出版社:明石書店
判型:4-6
ページ数:384ページ
価格:2000円(本体)
発行年月日:2015年10月
発売日:2015年10月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB