早稲田大学エウプラクシス叢書 45
大村はま国語教室の単元学習
学習経験の蓄積と構造
著:甲斐伊織
紙版
内容紹介
大正時代に起きた新教育運動以降、国語教育において学習者が主体的に学ぶ教育思想、教育実践は繰り返し強調されてきた。しかし、そのような立場は、一般化されたものにはならなかった。本書は、単元学習の実践者として広く知られる大村はま(1906~2005)の実践を研究の対象とし、その課題の克服に向けた知見を得ることが目的である。大村国語教室における個別の単元の成立の背景には、大村の教材研究やそれに基づく手引きなど、大村個人の力量によるものと共に、もう一つの要因がある。それは、大村の指導によって教室に蓄積されてきた学習者の学習経験である。本書では、大村国語教室における学習経験の蓄積の復元・考察を通して、今日の国語教室と共通する、主体的な言語活動を成立させる要素や単元相互の関連、および個々の単元が果たす役割について考察する。
目次
序 章 本研究の目的と方法
第Ⅰ部 横軸からの検討
第1章 入門単元における題材の変化
第2章 読書会単元における話し合いの指導の変化
第3章 意見文単元における共有の変化
第Ⅱ部 縦軸からの検討
第4章 第1学年の展開―単元「小さな研究」
第5章 第2学年の展開―単元「クラスの歌を作る」・「一年生からの手紙」
第6章 第3学年の展開―単元「外国の人は日本(日本人)をこのように見ている」
第7章 個々の単元の役割―単元「課題図書について考える」
終 章 本研究の成果と課題