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早稲田大学エウプラクシス叢書 23

トルストイと「女」

博愛主義の原点

著:佐藤 雄亮

紙版

内容紹介

幸福な家庭と理想的世界を結び付け、夢見たレフ・トルストイ。その生涯は、幼い頃死別した母をはじめ、多くの女性たちによって彩られていた。女性たちとの体験は、『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『見知らぬひと』など数々の名作にどのように反映されているのだろうか。「女性」はトルストイの博愛主義の原点といえるが、これまでトルストイの女性遍歴はタブー視されてきた。このタブーに果敢に挑み、名作の新たな解釈を試みた画期的研究。

目次

序論

第1部 カフカス
第1章 『幼年時代』における終生のテーマ――母の愛と魂の不滅を確信するが,いかに生きるべきかはわからない……
第2章 創作開始にいたるまでの試行錯誤
第3章  初期創作の到達点と限界点
第4章 「女」と現実の不条理にぶつかる
第5章 現実そのものを変える――農業経営と教育活動と恋愛
第1部のまとめ

第2部 1812年と『戦争と平和』
第6章 1812年――祖国戦争の真実と夢
第7章 『戦争と平和』論――夢と夢の出会い,そして生命の誕生
第8章 「作者の逸脱」と視点の問題
第2部の結びにかえて――ヴィクトル・シクロフスキー『『戦争と平和』の素材と文体』

第3部 『アンナ・カレーニナ』
第9章 明から暗への転換の背景
第10章 後期トルストイの誕生
第11章 『見知らぬ人』はアンナ・カレーニナか――レフ・トルストイと画家イヴァン・クラムスコイ

結論

著者略歴

著:佐藤 雄亮
1960年,山形県に生まれる。1995年,早稲田大学大学院文学研究科博士課程退学。現在,モスクワ大学付属アジア・アフリカ諸国大学日本語科上級講師(専任)。専門は,トルストイを中心とする19世紀ロシア文学。「前期レフ・トルストイの生活と創作――作家の「内なる女性像」から生じた問題とその解決を中心に」で,2016年に早稲田大学から論文提出により博士(文学)取得。
著書に,『選文読本――日本語参考書』(リュボーフィ・オフチンニコワと共著,モスクワ大学出版,2012年),藤沼貴『トルストイと生きる』(共編著,春風社,2013年),ロシアで刊行されたトルストイ事典,『レフ・トルストイと同時代人』(パラード出版,2008年),『事典レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ』(プロスヴェシェーニエ出版,2009年)への項目執筆多数,などがある。

ISBN:9784657208040
出版社:早稲田大学出版部
判型:A5
ページ数:340ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2020年07月
発売日:2020年07月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB