アメリカ進歩主義教育の源流
ブロンソン・オルコット思想研究
著:山本 孝司
内容紹介
アメリカで19世紀末から20世紀にかけて起こった、教育改革運動である進歩主義教育において、その源流にいたブロンソン・オルコットの思想を読み解く。オルコットは、個人の尊重を説く超越主義を教育において実践し、のちに「進歩主義教育の父」といわれるようになるフランシス・パーカーや、アメリカを代表する教育思想家ジョン・デューイへ影響を与えたとみられる。アメリカ教育思想史において、超越主義がどのように影響したのか、その思想的水脈を浮き彫りにする。
目次
はじめに
序論 本書の研究目的と構成
第1部 オルコット超越主義思想に影響を与えた思想群
第1章 超越的世界の意味づけ
第1節 プラトンと新プラトン主義からの影響
第2節 神秘主義思想からの影響
第1章まとめ
第2章 超越論的認識の背景
第1節 バークリからの影響
第2節 ドイツ超越論的観念論からの影響
第3節 19 世紀アメリカ教育思想における超越論的観念論の受容と変遷
第4節 イギリス・ロマン主義から
第2章まとめ
第3章 超越論的「知性」概念の拡充
第1節 エマソンとの親交
第2節 ソローとの親交
第3章まとめ
第4章 オルコット超越主義的実践理論への影響関係
第1節 ソクラテスからの影響―方法論としての「会話」
第2節 アダム・スミスからの影響―「道徳感情」論の受容と展開
第3節 初期オルコットの思想形成へのペスタロッチ主義運動の影響
第4章まとめ
第1部総括
第2部 超越主義から進歩主義教育に流れる思想的水脈
第5章 エリザベス・ピーボディの幼児教育思想
―オルコット教育理論の受容と批判
第1節 教育史におけるピーボディの位置
第2節 超越主義者としてのピーボディ
第3節 ピーボディと幼稚園
第4節 ピーボディの幼児教育思想
第5章まとめ
第6章 プラグマティズムへの影響
ーウィリアム・ジェイムズとの関係
第1節 超越主義における「経験」概念の拡大
第2節 オルコットとジェイムズとの接点―コンコード哲学学校
第3節 ジェイムズの「経験」概念形成への影響
第6章まとめ
第7章 ドイツ超越論的観念論からプラグマティズムへの中継点
-プラグマティズムへの中継点
第1節 オルコットとジェイムズを結ぶカント的要素
第2節 オルコットとデューイを結ぶヘーゲル的要素
第3節 多元主義社会構築の希望の萌芽
―ドイツ思想とプラグマティズムの間
第7章 まとめ
第8章 プラグマティズムへの超越主義の影響の一断面
―ミッシング・リンクとしてのオルコット人格主義
第1節 オルコットの人格主義
第2節 教育思想としての展開
第8章まとめ
第9章 超越主義とプラグマティズムの「宗教」的通路
―オルコットの人格主義に基づく「新しい教会」構想を手掛かりに
第1節 超越主義の宗教性
第2節 オルコット宇宙観の人格性
第3節 「新しい教会」構想
第4節 ジェイムズの「宗教」観
―個人主義化による実在性の承認
第5節 デューイの「宗教」観―公共宗教としての「宗教的なもの」
第9章まとめ
第10章 進歩主義教育への影響
ーパーカー,デューイへの影響
第1節 「アメリカのペスタロッチ」から「進歩主義教育の父」へ
第2節 教育思想としての人格主義と進歩主義の類似性
第3節 パーカーによるデューイへの影響から演繹的に捉えたオルコット教育思想の特質
第10章まとめ
第2部総括
結論 オルコット教育思想の再評価と超越主義の思想史的再定位
初出一覧
あとがき
参考文献
付 録
人名索引
事項索引
ISBN:9784657208019
。出版社:早稲田大学出版部
。判型:A5
。ページ数:314ページ
。定価:4000円(本体)
。発行年月日:2020年01月
。発売日:2020年02月01日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA。