序論
第一篇 平安前期の和文における笑いの諸相
第一章 「笑い」論の展開と文学における笑いの領域―特に平安前期の和文に照らして―
一、はじめに
二、古代ギリシャ・ローマ時代
三、「笑い」論の展開
四、テクスト、そして笑いの領域
五、おわりに
第二章 『土佐日記』の方法としての笑い―非日常空間における仮名日記の試み―
一、文学における笑い
二、なぜ『土佐日記』の笑いなのか
三、『土佐日記』の方法としての笑い
四、おわりに
第二篇 平安中期までの「人笑へ」言説
第三章 日本文化論との接点から見る古典における「恥」の言説―『竹取物語』とその前後―
一、はじめに
二、恥の不快感を振り払う上代人の即興性
三、『竹取物語』における笑いと「恥」の言説
四、おわりに
第四章 中流階級の女性における「人笑へ」、そして恋―平安貴族に仕えた女房格の作者を中心に―
一、はじめに
二、『蜻蛉日記』と『枕草子』における重みと実相
三、『和泉式部日記』に現れる階級性
四、おわりに
第五章 平安貴族の道徳感情、「人笑へ」言説―平安中期までの系譜学的考察―
一、はじめに
二、テクストに現れはじめる「人笑へ」―集団性を帯びていく「人」
三、『源氏物語』の「人笑へ」―恥を仮想する内面の不安
四、おわりに
第三篇 『源氏物語』の諧謔性と笑い
第六章 頭中将と光源氏―「雨夜の品定め」の寓意性―
一、はじめに
二、「吉祥天女」をめぐる頭中将と源氏の「笑ひ」
三、政治的な世界への変換
四、おわりに―「雨夜の品定め」の胚胎していたもの―
第七章 『源氏物語』における「女」と「仏」―若紫巻における喩としての「仏」を中心に―
一、はじめに
二、「仏」が人に重ねられる様々な例
三、屈折した欲望の変形 ―若紫巻の源氏―
四、誇張した感情の表出
五、おわりに
第八章 玉鬘十帖の笑い―端役から主要人物への拡がり―
一、はじめに
二、大夫監と玉鬘付きの人々の鄙性
三、玉鬘の鄙性
四、玉鬘から拡がる笑い
五、おわりに
第九章 男女関係に用いられる「たはぶれ」の一考察―平安前期の作品における解釈の問題をめぐって―
一、はじめに
二、現代辞書類と八~九世紀の書物における「たはぶれ」
三、一〇世紀の和文における「たはぶれ」
四、おわりに
第一〇章 『源氏物語』時代の「たはぶれ(る)」攷―物語における色恋の生成―
一、はじめに
二、『枕草子』と日記文学の例
三、『源氏物語』の諸例
四、おわりに
結論
初出一覧
付録 〈表〉笑いにかかわる概念語
索引