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京大人文研東方学叢書 6

目録学の誕生

劉向が生んだ書物文化

著:古勝 隆一

紙版

内容紹介

人にとって書物とは何か。なぜ、書物は必要なのか――

書物をぬきにして中国文化を語ることはできない。その書物は、どのように書かれ、整理され、系統立てられ、そして伝承されてきたのだろうか。前漢にはじまる皇室の図書事業は、やがて独立した「書物の学問」=「目録学」に発展し、過去から未来へと学問をつなぐ知の集積がはじまっていく。目録学の始祖とされる劉向(りゅうきょう)は、何を考え、何を成し遂げたのか。原資料と先行研究を幅広く渉猟し、目録学の誕生史を描き出す。


【目次(抜粋)】

序章 目録と目録学
第一章 劉向目録学のインパクト
第二章 目録学前史―戦国時代から前漢時代における学術と学派
第三章 前漢時代の皇帝と学問
第四章 劉向の家系と学問
第五章 『別録』と『七略』
第六章 校書の様相
第七章 『七略』の六分類
第八章 ポスト劉向時代の目録学
第九章 劉向の学を広め深めた学者たち―鄭樵・章学誠・余嘉錫
終章 書物はなぜ必要なのか

目次

はじめに

序章 目録と目録学
第一節 校書と分類の関係/第二節 目録と書目/第三節 「校讐」の起源―校正の始まりについての一試論/第四節 中国学術の全体像を俯瞰する/第五節 「儒」の位置
□コラム 目録学と校讐学

第一章 劉向目録学のインパクト
第一節 二劉の学の大きさ/第二節 書目の背後にあるのは「学術」である/第三節 術をめぐって/第四節 官職と書物/第五節 『漢書』芸文志の序文を読む/第六節 「大序」は誰の文章か
□コラム 書物と国家

第二章 目録学前史―戦国時代から前漢時代における学術と学派
第一節 諸子を批判する諸子/第二節 批判精神の発露―『荀子』非十二子篇/第三節 道術の衰え―『荘子』天下篇/第四節 学派内部の分裂をめぐって―『韓非子』顕学篇/第五節 司馬談の学術観
□コラム 荀子は子思と孟子を批判したのか

第三章 前漢時代の皇帝と学問
第一節 焚書のダメージ/第二節 漢初の学問好尚の変化/第三節 武帝と儒教/第四節 ポスト武帝時代から前漢末にいたる学問好尚/第五節 前漢における六芸の位置/第六節 漢室と神仙思想/第七節 前漢における図書蒐集の歴史
□コラム 芸をめぐって

第四章 劉向の家系と学問
第一節 『史記』楚元王世家と『漢書』楚元王伝/第二節 劉向の祖先、楚の元王/第三節 劉交の子孫たち/第四節 劉向の曽祖父・祖父・父/第五節 劉向の生涯/第六節 毀誉褒貶を生んだ劉歆の生き方
□コラム 劉安と劉向

第五章 『別録』と『七略』
第一節 『別録』と『七略』/第二節 『七略別録』とは何だろう/第三節 『別録』『七略』のその後/第四節 『別録』『七略』の輯本/第五節 姚振宗輯本の登場/第六節 『別録』『七略』に著録された書物/第七節 劉氏校書と『漢書』芸文志
□コラム 姚振宗とその著作

第六章 校書の様相
第一節 校書を担ったのは誰なのか/第二節 校書の記録―「荀子書録」を例として/第三節 校書の実態―『戦国策』の場合/第四節 序録に見える「中書」/第五節 校書はどこで行われたのか
□コラム 天禄閣から飛び降りた楊雄

第七章 『七略』の六分類
第一節 なぜ「七」略なのに「六」文類なのか/第二節 『七略』の六分類/第三節 輯略について/第四節 六分類の体系性をめぐって
□コラム 数術略なのか術数略なのか

第八章 ポスト劉向時代の目録学
第一節 劉向らの校書は無力だったのか/第二節 劉向らが校讐した本の運命/第三節 劉向らの校書結果の影響/第四節 四部分類の誕生/第五節 現代にも残るその影響力
□コラム 劉向的分類を乗り越えることの難しさ

第九章 劉向の学を広め深めた学者たち―鄭樵・章学誠・余嘉錫
第一節 鄭樵の学術観―理想の学術分類を目指して/第二節 章学誠の見た劉向―目録学の理念/第三節 余嘉錫の目録学―近代に劉向を伝える/第四節 目録学は本当に劉向が始めたのか
□コラム 「言公」の読みづらさ

終章 書物はなぜ必要なのか
第一節 書物は聖人が遺した糟粕なのか/第二節 劉向の思い/第三節 書物肯定と否定のはざま

おわりに

主要資料・参考文献一覧/あとがき/図版出典一覧/関連年表/索引

ISBN:9784653043768
出版社:臨川書店
判型:4-6
ページ数:268ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2019年02月
発売日:2019年03月06日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:GLK