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フィールドワーク選書 16

城壁内からみるイタリア

ジェンダーを問い直す

著:宇田川 妙子

紙版

内容紹介

陽気・大家族・恋愛に奔放…多くのイメージに囲まれたイタリア。その実態を探るとともに、それらのイメージをもたれる理由にも目を向ける。中世より続く城壁に囲まれた丘の上の小さな町で、人びとの生活に巻き込まれ出会う様々な出来事をきっかけに、家族、ジェンダー、ローカル・コミュニティなど多様なテーマに関心を広げ、絶えず自己を省みながら考えを深めていく。そもそも文化を、他者を「理解」するとは何なのか―多くの気づきがもたらされる一冊。


【目次】
第一章 人類学者とフィールドワーク~調査地ロッカプリオーラ~
第二章 なぜイタリアを、ロッカを選んだのか~研究者と調査地の力関係~
第三章 フィールドでのさまざまな出会い~家族~
第四章 見られているフィールドワーカー~ジェンダー・セクシュアリティ~
第五章 「私」意識の生まれるところ~ローカル・コミュニティ~
第六章 文化を理解することを、理解すること~人類学者の「根」~
あとがき

目次

第一章 人類学者とフィールドワーク~調査地ロッカプリオーラ~
ローマの南、アルバーニ丘陵/ロッカプリオーラという町/町の近年の変化/時代遅れになるコミュニティ・スタディ/フィールドワークの定義/フィールドワークをめぐる疑念/ポストコロニアル理論/人類学の変化/私のフィールドワークの背景/新旧のはざまで/されどフィールドワーク

第二章 なぜイタリアを、ロッカを選んだのか~研究者と調査地の力関係~
「イタリア」という問題/新しい調査地としてのイタリア/インドネシアからの転向/イタリア映画/イタリアは先進国とはいえない?/イタリアに対する人類学の視線/『ある後進社会の道徳基盤』/近代ヨーロッパの中の後進国/先進国の「鏡」としてのイタリア/日本のイタリア・イメージ/バブル期の転換/私のフィールド選択/はじめてのロッカ/私とイタリアとの関係/「おまえもイタリアをバカだと思っているのか」/理解(誤解)と力関係

第三章 フィールドでのさまざまな出会い~家族~
家族という研究テーマとの出会い/生活としてのフィールドワーク/アンナ/間借りを決める/ロッカでの生活始まる/台所のアンナ/アンナの訪問者/アンナとの生活の変化/アンナとの微妙な関係/イタリアの家族にかんする研究/ロッカの家族形態/「あなたの家族は誰ですか」/アンナの日曜日の食卓/日曜日は家族の日/食事ともにすることへのこだわり/食卓のさらなる広がり/緊密な家族関係/私の家族、日本の家族/アンナの食卓に加わる/アンナの家族の一員として行動する?/家族の今/関係か、枠組か

第四章 見られているフィールドワーカー~ジェンダー・セクシュアリティ~
透明人間ではない調査者/戸外での経験/女性たちの冷たい目/広場とバール/男性の空間としての広場/転機としてのスイセン祭り/イタリアの女性観にかんする研究/はたして彼女たちは弱いのか?/女性たちの路地空間/小遣い稼ぎをする女性たち/私の側のジェンダー・バイアス/ジェンダー観の見直しという課題/もう一つの問い、もう一つの経験/「おまえは女が好きなのか」/女性あるいは男性である、という自意識/セクシュアリティ/隠されるセクシュアリティ/研究者のセクシュアリティという問題

第五章 「私」意識の生まれるところ~ローカル・コミュニティ~
私のパエーゼはどこか/パエーゼの意味/イタリアの国としてのまとまりのなさ/作られた多様性/問い自体の問い直し/パエーゼのまとまり/「無道徳」な社会/「私はロッカプリオーラ人である」/見られる/見る/見せる/「タエコ!」/「私」という意識と承認/町という空間/変化するパエーゼ、されどパエーゼ/パエーゼを、地域を、つくる

第六章 文化を理解することを、理解すること~人類学者の「根」~
個人の直接的な関係としてのフィールドワーク/文化を理解することを、理解する/理解するとは/人類学者の「根」

あとがき

著者略歴

著:宇田川 妙子
国立民族学博物館准教授。専門は文化人類学。イタリアを中心とする南ヨーロッパを対象に、主にジェンダー/セクシュアリティ、家族などの私的領域に焦点を当てた研究・調査を行っている。

ISBN:9784653042464
出版社:臨川書店
判型:4-6
ページ数:224ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2015年08月
発売日:2015年09月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:NH