国内外の仏教写本調査の足跡により、また疑経研究というジャンルの開拓者として、そして、中国仏教史研究、朝鮮史研究、浄土教研究など広範かつ膨大な功績によって知られる仏教史研究の泰斗、牧田諦亮の研究の全貌を明らかにする待望の著作集である。
第4巻は、第1部「五代宗教史研究」と第2部「中国近世仏教史研究」から成る。第1部は『五代宗教史研究』（1971年、平楽寺書店）を底本とし、第2部は『中国近世仏教史研究』（1957年、平楽寺書店）の体裁にならいながら、最新の論文を底本にするという著作集の原則にならい『中国仏教史研究』第2（1984年、大東出版社）に底本を求めている。本巻監修・解題執筆は、第1部：高田時雄先生（京都大学人文科学研究所名誉教授）、第2部：直海玄哲先生（浄土真宗本願寺派光徳寺住職、龍谷大学非常勤講師）。各部底本（第2部は『中国近世仏教史研究』）に収録された索引を付す。
目次：
第1部 五代宗教史研究
五代宗教史年表 ／ 五代王朝の宗教政策 ／ 行瑫の『内典随函音疏』について ／ 解題（高田時雄）
第2部 中国近世仏教史研究
序（塚本善隆） ／ 中国における民俗仏教成立の過程 ／ 後周世宗の仏教政策 ／ 賛寧とその時代 ／ 趙宋仏教史における契嵩の立場 ／ 水陸会小考 ／『皇明文海』方外部の仏教史料 ／ 『活閻羅断案』攷 ／ 居士仏に於ける彭際清の地位 ／ 清末以後に於ける廟産興学 ／ （附録）敦煌本廬山遠公話 ／ あとがき ／ 謝肇制の仏教観 ／ 解題（直海玄哲）
索引（第1部、第2部）
