源頼政と『平家物語』
埋もれ木の花咲かず
著:栃木 孝惟
紙版
内容紹介
我が身を「埋もれ木」と嘆じた武将はその嘆きにも拘わらず、老いの身に発した一念によって、鎌倉武士政権の誕生に重要な役割を果たした。『平家物語』の記述を中心に、歴史と文学の世界における頼政の生の軌跡を明らかにする。以仁王の消息を含め、転換期の日本国家の推移を追いつつ、歴史の中で物語を考え、物語を通して歴史を考える新しい試み。
目次
序 何故、頼政か/源頼政の系譜と物語世界(六孫王経基とその子源満仲〈六孫王経基と満仲の経歴/満仲、多田院を建立/多田院と叡山〉以下細目略/物語世界における頼政の登場と摂津の竪者豪運/記録から見た安元の強訴)/実在の人物としての頼政を辿る(源頼政の官歴/幼少期と官人としての出発/保元・平治の乱と頼政/不遇期の頼政とその脱出)/平氏討滅の挙兵(Ⅰ)―以仁王とその周辺(以仁王の出生と異母兄守仁/二条天皇の誕生/二条天皇と父後白河上皇との確執/以仁王の元服)/平氏討滅の挙兵(Ⅱ)―頼政蹶起(頼政の進言と以仁王の決断/『吾妻鏡』治承四年四月二十七日条を読む/以仁王令旨の考察/史実としての頼政挙兵)/謀反の発覚と官軍の追討(以仁王の謀反発覚/頼政の謀反発覚/運命の日の到来)/三井寺離脱から高倉宮・頼政の最期(三井寺離脱周辺の問題/以仁王と頼政の最期)/皇室・源氏・平氏系図/索引