世界遺産 宗像・沖ノ島
みえてきた「神宿る島」の実像
編:佐藤 信
編:溝口 孝司
内容紹介
古代から崇拝されてきた宗像・沖ノ島には、他に例をみない祭祀遺跡が残る。シルクロードを通じて伝わったカットグラス碗片、中国大陸の銅鏡、朝鮮半島の金製指輪など航海安全を願い奉献された品々は、古代東アジア諸国間の交流を物語る。航海・交流を切り口に、多様な地域間交流が生み出した祭祀と信仰を読み解き、「神宿る島」の魅力に迫る。
目次
開会にあたって
はじめに…佐藤 信
Ⅰ 概説
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群とは―その価値と歴史―
一 世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群とは?
二 「神宿る島」沖ノ島
三 宗像三女神と信仰の継続
Ⅱ 報告
先史・古代の東アジア海域世界における沖ノ島―航海・船と海域ネットワーク―…秋道智彌
一 東アジア海域の航海と海
二 東アジアの船と航海
三 航海・船と航海安全祭祀
コラム1 古代の航海と沖ノ島
沖ノ島祭祀遺跡と竹幕洞祭祀遺跡―倭国と百済の交流―…禹在柄
はじめに
一 百済への長距離の航海を試みた倭国の商人
二 高句麗の脅威に対抗する過程で深まる倭国と百済との親縁関係
三 五~六世紀の倭国と加耶・百済との航海術
四 倭国と百済との海上交流の拡大に伴って最大化する海岸祭祀
コラム2 古代豪族宗像氏
古墳時代の日朝交渉における海の道…高田貫太
一 朝鮮半島西・南海岸地域の傍系古墳
二 港関連の遺跡の紹介
三 竹幕洞祭祀遺跡と石製模造品のひろがり
コラム3 中世の宗像と海
秦氏と宗像の神―「秦氏本系帳」を手がかりとして―…田中史生
一 磐井の乱から考える
二 「秦氏本系帳」から考える
三 干支年と元号年
四 ミヤケの交通と対外戦争と秦氏
コラム4 沖ノ島における発掘調査について
宗像・沖ノ島における古代祭祀の意味と中世の変容…笹生 衛
一 人間の認知機能と宗像・沖ノ島祭祀の神観
二 古代の宗像・沖ノ島祭祀の変容
三 古代祭祀の終焉から中世へ
コラム5 受け継がれる信仰
Ⅲ 討論
パネルディスカッション
沖ノ島研究の新地平―五年間の研究を振り返って―
(コーディネーター) 佐藤 信
(パネリスト)溝口孝司、岡田保良、 鈴木地平
一 特別研究事業のあゆみ
二 特別研究事業でわかったこと
三 特別研究事業の評価
四 今後への展望
あとがき…溝口孝司
宗像・沖ノ島関連地図
宗像・沖ノ島関連年表
図・表一覧
執筆者紹介