平安貴族の夢分析
著:倉本 一宏
紙版
内容紹介
平安貴族は、夢を神仏のお告げと信じて加持祈祷(かじきとう)や陰陽道にすがったとされる。しかし道長や行成・実資などの日記からは、行きたくない用事をサボるための口実として夢を持ち出したり、昇進を要求するために夢を語るなど、夢を現実の利益のために利用した姿が浮かび上がる。彼らが夢をどう考え、どう対処していたのかを探り、平安貴族の精神世界に迫る。
目次
夢とは何か―はじめに/一=平安日記文学と夢(平安朝文学に見える夢/藤原道綱母と『蜻蛉日記』/菅原孝標女と『更級日記』)/二=平安貴族の日記と夢(日記の夢/藤原忠平と『貞信公記』/藤原師輔と『九暦』/重明親王と『吏部王記』)/三=摂関期貴族の日記と夢(藤原行成と『権記』〈政務と人事/宗教的な夢/天皇と王権/家族や個人/他の日記に見える行成の夢/能吏の夢〉/藤原道長と『御堂関白記』〈口実としての夢/その他の夢/他の日記に見える道長の夢/サボりの口実の夢〉/藤原実資と『小右記』〈宗教的な夢/人事の夢/政務と儀式