人物叢書 287
天智天皇
著:森 公章
紙版
内容紹介
中大兄皇子の名と「大化の改新」で知られる古代の天皇。孝徳天皇主導の下、乙巳(いっし)の変で蘇我本宗家を滅ぼす。白(はく)村江(そんこう)の戦で大敗後は、すぐに即位せず称制の形で防衛対策を推進。近江大津宮に遷都して即位し、初の全国的戸籍「庚(こう)午(ご)年(ねん)籍(じゃく)」を作成するなど、中央集権体制の確立をめざした。通説を覆し、その生涯を通して激動する七世紀の東アジアを描く。
目次
はしがき/舒明・皇極朝の中大兄(生年と家系/舒明朝と中大兄の登場/東アジア情勢の画期と皇極朝)/乙巳の変と改新詔(蘇我本宗家討滅/改革のはじまり/改新詔)/孝徳朝の改革のなかで(皇太子奏/蘇我倉山田石川麻呂事件/新冠位・官職と評制の施行/飛鳥還都)/斉明朝と飛鳥の荘厳化(飛鳥の都/阿倍比羅夫の北方遠征/有間皇子事件)/百済救援の出兵と称制(百済滅亡と百済救援/白村江戦の敗北/防衛体制の整備)/即位への道程(甲子宣/間人皇女の位置/近江大津宮遷都)/近江朝廷の日々(即位と諸后妃/外交関係の展開/中臣鎌足の死/近江令の存否/唐軍からの使者/崩御、そして壬申の乱勃発)/律令国家創始者像の創出(不改常典/持統・元明による顕彰/奈良時代の天智天皇観)/結―中大兄・天智の生涯/系図Ⅰ 六・七世紀の天皇家の系図/系図Ⅱ 天智・天武の家族関係/略年表