日本古代の政治と仏教
国家仏教論を超えて
著:佐藤 文子
紙版
内容紹介
古代の日本は、中央集権的な国家が政治の手立てとして仏教を興隆し、得度を統制したと理解されてきた。それは本当に実態に即した姿なのであろうか。得度と為政者との関係、天皇権の発動契機などを古代人の思想に沿って分析し、古代社会における権力の実情を探る。さらに、〈国家仏教〉論の歴史的成立過程を解き明かし、従来の理解を超克する意欲作。
目次
総説/優婆塞貢進の実像とその史的意義(優婆塞貢進文の再検討/優婆塞貢進とは何か/〈網羅的官度制〉から〈限定的官度制〉へ)/日本古代における得度前行者の存在形態(古代における白衣の俗人たち/得度前行者の存在形態/得度前行者とは何であったのか)/古代の得度に関する基本概念の再検討―官度・私度・自度を中心に(「官度」の概念と得度システム/「私度」と「自度」とを検証する/古代社会のなかの「私度」の実像)/延暦年分度者制の再検討(延暦年分度者制の基本理念/延暦年分度者制起草以前の得度制/延暦年分度者制成立の基盤と背景)以下細目略/臨時得度の政治思想/淳仁朝の造宮計画―宮の新営と天皇権獲得の原理/郊野の思想―長岡京域の周縁をめぐって/結章 史学史としての〈国家仏教〉論