近世山村地域史の展開
著:佐藤 孝之
内容紹介
武州・信州と国境を接する山間の地・上州山中領を舞台に、自然環境に対する人間の営みを問う。焼畑耕地と秣場が循環利用されていた実態や林地・藪地の活用など、山地における林野利用の特性を明らかにする。加えて、幕府の御巣鷹山・御林の支配体制を究明するほか、国境争論や関所政策など、多角的な観点から近世における山村地域の実像に迫る。
目次
序
第一部 近世山村における山地利用の展開
第一章 切代畑・御巣鷹山と山地の利用環境
はじめに
一 切代畑と秣場
二 切代畑の造成と「山焼」
三 検地と切代畑
四 御巣鷹山と切代畑・野火
おわりに
第二章 秣場争論からみる山地利用
はじめに
一 秣場争論と切代畑
二 秣場争論と「浦地」
三 秣場争論と山地利用の特性
おわりに
付論 三波川村にみる山地の循環利用
第三章 林地争論と検地
はじめに
一 訴答の主張
二 割元による審理
三 和談内容と林地争論
おわりに
第四章 元禄検地と林地・薮地
はじめに
一 元禄検地と「百姓林」「百姓薮」
二 林地・薮地と山地利用
おわりに
第二部 御林の取締りと御材木の伐出し
第一章 「献上御林」と御林取締り
はじめに
一 山中領における御林取締体制の概要
二 植林と「献上御林」の成立
三 「献上御林」と御林の取締体制
おわりに
第二章 御材木伐出しと御普請役
一 御材木伐出しの概要
二 安永六年「御手山一件覚帳」の紹介
三 天明七年「御手山御用一件覚帳」の紹介
〔史料〕安永六年「御手山一件覚帳」
〔史料〕天明七年「御手山御用一件覚帳」
第三章 御林・御巣鷹山の木数・木品調査の展開
はじめに
一 木数・木品調査の概況
二 木数・木品調査の推移
おわりに
第三部 近世山村地域の諸相
第一章 上武国境と国絵図・郷帳
一 元禄の上武国境争論
二 寛文国絵図・郷帳と上武国境
三 寛永国絵図との比較
第二章 近世前期の白井関所・白井市の動向
はじめに
一 白井関所・白井市の開設をめぐって
二 寛永八年の通行人取締令をめぐって
おわりに
第三章 村方騒動と年貢勘定
はじめに
一 勝山村の年貢収取の概況
二 正徳三年の村方騒動
三 享保十八年の村方騒動
おわりに
付論 年貢勘定の「算者」
結びにかえて
あとがき