寛政期水戸学の研究
翠軒から幽谷へ
著:吉田 俊純
紙版
内容紹介
『大日本史』編纂に従事し歴史の学問的研究を目的としていた水戸学。それが尊王論と攘夷論の思想に梶を切る起点で何が起きたのか。江戸と水戸の彰孝館で交わされた書簡を記録した「往復書案」を読み解き、水戸学の展開の実体を詳細に検討。立原翠軒と弟子の藤田幽谷の交流と別れから、これまで知られてこなかった史実とともに、思想の背景を解明する。
目次
凡例/序章 本書の課題/Ⅰ 水戸学と立原翠軒(翠軒小伝〈出自/修学時代/『大日本史』編纂/学風〉/寛政元年の廃志提案〈翠軒廃志提案の問題点/直前の状況/廃志提案書の紹介/廃志提案書の検討/翠軒の説得/翠軒の譲歩〉/寛政七年の上洛と藤田幽谷の書名更改〈寛政期『大日本史』編纂の進展と翠軒上洛の問題点/正徳五年の命名/享保年間の献上問題/翠軒の上洛/藤田幽谷の書名更改〉/翠軒の失脚〈享和三年復古の問題/藩主治保と編纂事業/翠軒の失脚/復古とその後の編纂事業〉以下細目略)/Ⅱ 水戸学の展開(水戸学の神道導入と国学・徂徠学との関係/寛政と文化の封事にみる思想的展開/水戸学と伊藤仁斎/幽谷小伝)/終章 水戸学、乱れた論旨のなかから