平安宮廷の儀礼文化
著:末松 剛
紙版
内容紹介
平安期、宮廷貴族はなぜ先例を重視した儀式運営に努めたのか。天皇の「御後」に祗候し、同じ「赤色袍」を着る摂関家故実に着目。さらに先例をめぐる貴族の言動から、故実の形成過程を摂関家の儀式運営を通じた政略と絡めて分析。摂関家が天皇と密接に関わる存在へと変遷する過程を検証し、宮廷儀礼が担った政治文化としての意義を解明する。
目次
序章=平安期の宮廷儀礼研究と本書の構成(平安期の宮廷儀礼研究に関する動向/本書の研究姿勢と構成)/儀礼にみる摂関家の動向(即位式における摂関と母后の高御座登壇〈摂政の登壇の成立過程と役割/関白の登壇と役割〉/節会における内弁勤仕と御後祗候〈内弁の職掌/内弁を勤めた人物と摂関との関係〉/摂関賀茂詣の成立と展開〈賀茂詣への参加公卿/平安中期の賀茂詣/平安後期の賀茂詣─摂関賀茂詣の確立と衰退─〉以下細目略/摂関家における服飾故実の成立と展開─赤色袍の検討を通じて─)/儀礼空間を形成する先例観と視線(摂関家の先例観─御堂流故実の再検討─/儀式・先例からみた藤原頼通/宮廷儀礼における公卿の「見物」)/終章=平安宮廷の儀礼文化と摂関政治