単行本
近代日本の庶民史 同志社大学経済学研究叢書8
ふつうの人々の暮らしと人生を紡ぐ
著:西村 卓
紙版
内容紹介
京都の町と近郊のむら,島根や長野の農村に生きたふつうの人々の暮らしにこだわり,彼らがその日々の中でのこした様々な史料を深く読み解いて,明治から昭和にかけての時代の動きを見つめ,都市史と農村史を撚り合わせて,ユニークな庶民史を紡ぎだす試み。
目次
第1章 「まち」の暮らしと戦争──日中戦争期における豆腐行商人の日誌を読み解く(京都市中の豆腐店を営む家族が,日常化していく戦争とどう向き合っていたのか)/第2章 「むら」における強盗と盗み──近代の到来と向き合う「むら」(踏切番が襲われた強盗事件や村の日常の中での盗みの顚末)/第3章 屎尿を通してみる「農」の風景──京都近郊農家の「帳面」「日誌」に庶民生活を探る(屎尿の農業利用と都市衛生のための規制,そして様々な営みの姿)/第4章 宇山栄太郎と一粒植稲栽培法──島根県能義郡における一篤農とその農法/補論 島根県における明治農法の地域的形成と構造(地域リーダーが育てた農法と近代農法との関わりに見る近代農村像)/第5章 信州リンゴの開発者 真鍋猪之吉──勧農社実業教師の「こころざし」と献身(稲作改良法の普及に活躍した農業技師はいかにしてリンゴ栽培を定着させたか)