序 章 「核のタブー」とは何か
1 問題意識――なぜ、非核三原則には「使わせない」が不在なのか
2 本書で用いる理論――国際関係論における構成主義
3 本書の前提となる歴史的流れ――「核のタブー」形成期における米国内の対立する思潮
4 本書の分析対象と構成――広島・長崎から現代まで
第1章 「唯一の核使用」としての広島・長崎原爆と敗戦日本――一九四五~五一年
1 混乱の中から「天佑論」へ
2 占領下の言論統制と「核のタブー」
3 「平和国家」の出発と原爆
4 朝鮮戦争下の日本と「核のタブー」
第2章 「被爆国」の誕生――一九五二~六四年
1 原水爆禁止運動の国民的盛り上がりと鳩山政権による懐柔
2 岸政権による核兵器合憲論と安保改定、核密約
3 国際関係における非核規範の力学と日本
4 キューバ危機――世界の核規範と日本
5 池田政権期の日本と非核規範の関係性
第3章 佐藤政権と非核アイデンティティの確立――一九六四~七二年
1 政権獲得に至るまでの佐藤栄作と核兵器
2 首脳外交での「核の傘」保証への執心
3 沖縄返還アジェンダと一九六〇年代中葉の「核のタブー」
4 「非核三原則」と「核政策四本柱」
5 ニクソン政権期の沖縄核密約と「核のタブー」
6 佐藤政権末期における非核規範
第4章 NPT批准での非核国家の地位確定と不拡散規範――一九七〇年代中盤
1 デタントと非核規範
2 核持ち込み問題をめぐる混乱
3 NPT批准と三木政権
第5章 世界的な核軍縮への日本の関与と限界――一九八〇年代
1 「軍縮の年」一九八二年における非核規範と日本
2 軍縮特別総会での日本外交の裏面史
3 「ロン・ヤス」関係下で始まった核軍縮関与
4 ゴルバチョフ登場後、冷戦最終盤の米ソ核軍縮と日本
第6章 ポスト冷戦構造の中で変動する非核規範と日本――一九九〇年代
1 湾岸戦争ショックと核の不拡散/不使用
2 北朝鮮による核開発問題
3 交錯する核不拡散規範と核実験禁止規範
4 国際司法裁判所(ICJ)における核使用合法性審理
第7章 変動する国際環境における日本と核兵器――二〇〇一~一〇年代中盤
1 対テロ・イラク戦争における「核」
2 核保有へ突き進む北朝鮮
3 目標としての核廃絶規範と日本
第8章 大国間競争再来の時代と岐路に立つ「非核日本」――二〇一〇年代後期~
1 北朝鮮の核をめぐる外交の停滞と核保有の既成事実化
2 ウクライナ侵攻の衝撃
終 章 日本にとっての非核規範
1 核兵器不使用規範と核不拡散規範
2 非核規範とアイデンティティ
3 日米同盟の下での拡大核抑止と非核規範
参考文献
あとがき
人名・事項索引