はしがき
序 章 発達研究における発生論への着目
1 教育学における「発達」をめぐる問題
2 山下徳治研究の概要
3 「発育論争」における山下徳治の立場
4 「発育論争」のその後――発生論からセルフデザイニング論への展開
5 山下徳治のモノグラフ研究――本書の構成
第Ⅰ部 山下徳治における発生論の形成
第1章 鹿児島・台湾における訓導時代
1 山下家の家族経営
2 「学び」のスタイル――郷中教育と近代学校の狭間で
3 同伴者としての弟・山下兼秀
4 台湾へ――海洋学への関心
第2章 成城小学校での教育の具体的展開
1 初期の論考における子どもの原始的生活への着目
2 子どもの原始性に根ざした教育論の展開
3 子どもの詩に対する固有のスタンス
第3章 ドイツ・マールブルク大学における思索
1 マールブルク大学の聴講生
2 E・R・イエンシュとの出会い
3 「発達」と「発展」をめぐる理論問題
第4章 ドイツからの帰国とソヴィエト訪問
1 ドイツ留学からの帰国
2 帰国直後のペスタロッチ論
3 二度目の訪ソの意味
4 新興ロシアへの共感と警戒
5 デューイ研究の開始
第Ⅱ部 一九三〇年代の教育研究運動と教育計画
第5章 山下の新興教育構想
1 訪ソ後の山下の教育運動に果たした役割
2 プロレタリア科学運動・新興教育運動への参加
3 『プロレタリア科学』誌への執筆
4 新興教育運動における山下の立場
第6章 山下はなぜ「教化史」を書いたのか
1 ソヴィエト・ロシア論
2 「教化史」の執筆
3 成城時代の総括
第7章 学制改革論と児童学への期待
1 教育運動史の教育学的意味
2 新教・教労運動からの離脱の具体
3 山下の学制改革論における子どもの発生論的把握
4 児童学への期待
第Ⅲ部 戦後の研究とセルフデザイニング論の展開――スポーツ教育論を中心に
第8章 「ペスタロッチからデューイへ」という問題構制
1 思想の成熟へ
2 三つの追求課題――教育哲学批判、学校改革論、日本民族教育論
3 教育哲学批判――自己形成の構成的過程
4 学校改革論――労作教育の立場
5 日本民族教育論――衝動性から生い立つ人間性
第9章 生い立つ思想とセルフデザイニング論
1 児童書『技術の生いたち』と『すまいのおいたち』
2 森徳治の横浜健民少年団への関わりとセルフデザイニング論
3 スポーツを通した「自然」の再構成
4 自ら生い立つ「民族の子ら」への期待
第10章 未完の書「日本教育の再発見」へ
1 総力戦体制下の言説
2 一九五〇年代の民族論にみられる転回
3 進化心理学、そして「日本教育の再発見」(未完)の執筆へ
終 章 教育学と発生論的発達論
1 子どもへのまなざしの変化
2 科学史に根ざす人間科学の探究
3 教育学における発達論の課題
あとがき
山下(森)徳治略年譜
巻末付図表
資料編 山下(森)徳治文書の概要とその性格
1 二つの「山下(森)徳治文書」
2 成城学園教育研究所所蔵「山下(森)徳治文書」目録一覧
3 鹿児島大学附属図書館所蔵「山下(森)徳治文書」目録一覧
人名・事項索引