はじめに
Ⅰ 歴史社会学への招待
1 メディアの重層を読む:怪物のうわさ
2 音楽文化の歴史社会学:ジャンルが背負う歴史性
3 戦争の歴史/社会学:「社会学の出番」なのか?
4 「心の病」の歴史社会学:メンタルヘルス文化の過去と現在
5 セクシュアリティ:エロに歴史あり
6 家と家族:近現代におけるその変容
7 住宅問題の構築史:住まいをめぐる反復と反転
8 つながり社会と無縁社会:「無縁」のもつ新しいつながりの可能性
9 祭り: 世代を超えた継承をもたらす歴史の作用
10 社会学史:歴史社会学としての社会学史
Ⅱ 歴史社会学入門
1 社会科学のなかの社会学:「意味」を問い,「理解」をめざす学問
2 社会学における歴史分析の意義:史料にふれて社会を知る
3 歴史社会学における異文化理解:「作品」がつなぐ過去と現在
4 歴史社会学の居場所:歴史社会学に/だけにできること
5 資料の生態:社会学的な歴史資料論/資料のメディア論
6 資料の宇宙:図書館・文書館というフィールド
Ⅲ 歴史社会学的想像力の諸相
1 ファミリーヒストリー:自分のなかに歴史をよむ
2 裁判記録:討論形式で見出される多元的な「過去」
3 消費者/〈消費者〉:消費を問題化する社会記述そのものの歴史性
4 女性専門職:近代「女医」の歴史社会学
5 自殺:「意志的な死」の成立
6 被害者:「同情を寄せるべき他者」に関する規範の変容
7 摂食障害:逸脱的な食行動はなぜ問題化されたか
8 趣味:概念史からことばの意味を解きほぐす
9 日常生活の観察:対象としての大衆/主体としての大衆
10 持ち家と賃貸:レジームが生み出す傾斜
11 山車:歴史を具象化したコモンズとその作用
12 民謡:資本主義と複製技術が再編したオーラルな文化
13 「時代」:社会学の強みを活かすために
14 馬券:モノ/メディアの「てざわり」
15 クィア・ヒストリー:非規範的な性の歴史をたどる
16 消臭:ケアワークの領域の拡大
17 「○○力」ということば:実在から動態へ
18 科学技術:「科学の体制化」と科学技術立国批判
19 養育:子の養育とその担い手の歴史性
20 食:日常的な営みの共同性とその歴史性
21 論文:知識の制度
22 宗教組織:信仰運動と組織改革運動のダイナミズム
23 エアコン:日常を覆う密閉空間の人工空気
24 ミュージアム:近代が生んだパブリックな歴史の場
Ⅳ さまざまな歴史資料・データ
1 新聞・雑誌:出来事の「語られ方」をとらえる
2 言論・言説:思考や認識をめぐる歴史資料
3 芸術文化の資料とは:音楽の創作,演奏,流通
4 映像・映画:歴史/社会を映す鏡
5 広告・CM:時代の価値観を映し出すテクスト
6 インタビュー調査:声の背景を聞く・声なき声を聞く
7 組織文書:組織の自意識と社会認識
8 地図:空間を重視する歴史社会学
9 全集・著作集:個人アーカイブのテクスト空間
10 デジタルデータベース:デジタル空間で歴史を編む
11 社会調査アーカイブ:歴史資料としての調査データ
12 マイクロデータの二次分析:計量歴史社会学
Ⅴ 歴史社会学の世界
1 現在の歴史的探究:マックス・ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の『精神』」
2 比較社会学のファウンダー:エミール・デュルケム『自殺論』
3 礼儀作法が作り出す支配の構造:ノルベルト・エリアス『文明化の過程』『宮廷社会』
4 不定形な対象をどうとらえるか:ルース・S. コーワン『お母さんは忙しくなるばかり』
5 空気の管理による社会的区分:アラン・コルバン『においの歴史』
6 病気のイメージの歴史:スーザン・ソンタグ『隠喩としての病い』/サンダー・L. ギルマン『病気と表象』
7 家と同族団を軸に伝統都市の200年を描く:中野卓『商家同族団の研究[第二版]』(上・下)
8 組織としての家と宗教:森岡清美『真宗教団と「家」制度[新版]』『真宗教団における「家」の構造[増補版]』
9 「生と社会」の厚い記述:内田隆三『国土論』
10 個の人生にあらわれる構造の呪縛:見田宗介『まなざしの地獄』
Ⅵ 収集・分析をはじめる前に
1 「問う」ことからはじまる:素材の発掘と問題の構築と
2 資料の社会的存在形態の解読:「データの質」の問題
3 資料分析の方法論:代数学/幾何学/博物学の想像力
4 リストの力:全体を観察する作法
5 固有名詞の力をコントロールする:構造変動としての歴史
6 個人をどうとらえるか:「フィールドとしての個人」と「n次資料」
7 歴史社会学とはなにか:歴史性の厚みにおける再帰性
さくいん