序 章 1970年代の石油危機と国際秩序の変容――「東アジアの奇跡」の起点(秋田 茂)
1 冷戦,石油危機と1970年代の開発
2 冷戦と東アジアの工業化
3 「民営化された国際通貨システム」の出現と「オイル・トライアングル」
4 開発主義と輸出志向型工業化
5 双方向的比較と1980年代への展望
6 本書の構成
7 21世紀のエネルギー危機に対する含意
第Ⅰ部 石油外交と冷戦
第1章 石油危機とグローバル冷戦(デーヴィッド・S・ペインター[菅 英輝訳])
1 冷戦と石油
2 石油とワールド・パワー
3 要の年
4 石油と第四次中東戦争
5 禁輸の終わり
6 経済的インパクト
7 石油とマネー
8 ソ連と東欧
9 イランと第二次石油危機
10 ペルシア湾岸の守護者
11 経済的悪影響
12 1980年代の逆オイルショック
13 石油危機と国際政治経済秩序の変動
第2章 第三世界プロジェクト盛衰の支柱としての石油危機(デーン・ケネディ[菅 英輝訳])
1 ポストコロニアルな国際秩序の台頭
2 新国際経済秩序(NIEO)の触媒としての石油
3 第三世界の連帯の衰退
4 第二次石油危機と第三世界プロジェクトの崩壊
5 2つの石油危機と第三世界プロジェクトの盛衰
第3章 東南アジア開発におけるアジア開発銀行の役割――冷戦と石油危機の文脈(菅 英輝)
1 アジア開発銀行の設立と冷戦
2 譲許的基金の拡大を求める声の高まりとADFの創設
3 ADF増資をめぐる政治(ADF II~III)
4 2つの石油危機,第二次アジア農業調査報告,拡大するADB融資
5 東南アジアの継続的発展の基礎をなしたADB融資
第Ⅱ部 国際金融秩序と開発金融の変容
第4章 石油危機と「民営化された国際開発金融」(山口育人)
1 二度の石油危機と途上国開発金融
2 第一次石油危機とユーロダラー市場
3 「民営化された国際開発金融」と途上国の「分化」
4 第二次石油危機と「東アジアの奇跡」
5 二度の発展途上国の「分化」――1970年代
第5章 1970年代の大循環――ユーロダラー,オイルマネー,融資ブーム,債務危機,1973~82年(マーク・メツラー[山口育人訳])
1 時代区分としての「1970年代」
2 時代区分――石油,通貨,食糧の「ブレトン・ウッズ時代」
3 内発性の衝撃――初めはドル危機から
4 ドルと異常気象――次にやってきた食糧価格ショック
5 決定的な石油危機の発生
6 1973年――歴史の分水嶺
7 ユーロダラー貸出しブームによる「解決」
8 二度目のドル危機,そして二度目の第一次産品・石油危機
9 第一次産品価格の下落,債務危機,そして1982年の大不況
10 資本主義の歴史における時代構造
第Ⅲ部 冷戦,開発と経済援助
第6章 世界エネルギー危機と中国石油外交(南 和志)
1 「もう一つの中東」論
2 自立の再定義
3 アメリカ合衆国への傾倒
4 海底油田開発と中国のエネルギー危機
5 海底資源共同開発の過程
6 石油と中国経済の「奇跡」
第7章 インドの「緑の革命」・世界銀行と石油危機――化学肥料問題を中心に(秋田 茂)
1 「緑の革命」と石油危機
2 1970年代のインドの経済開発――重化学工業化から農業開発へ
3 第一次石油危機時のインド経済
4 世界的な化学肥料危機と世界銀行の積極的役割
5 第一次石油危機後のインドの化学肥料産業
6 第二次石油危機と1981年のIMF金融支援協定
7 国際金融機関とインド
第8章 商品価格高騰に直面したガーナとケニヤ――ナショナルとグローバルの交錯(ギャレス・オースティン[秋田 茂訳])
1 サハラ以南アフリカの比較史――ガーナとケニヤ
2 異なる植民地の過去と脱植民地化
3 1970年代の経済成長とインフレーション
4 1970年代の政治闘争,連続性と不安定
5 経済と政治の相互作用
6 交易条件の変化は経済実績の相違を説明できるか
7 経済政策の対照性
8 対照的な帰結――輸出農業の趨勢とそれを超えて
9 衰退と比較する――成長のための政治経済学
10 経済政策の相違による較差
あとがき
人名・事項索引