はしがき
序 章 列島の日本美術史――ミュゼオロジーの視点から
1 列島のミュージアム
2 移動と交流のネットワーク
3 東京のローカル画家、渡辺省亭
4 展覧会が果たす役割
第Ⅰ部 近世篇
第1章 雲谷等顔(一五四七~一六一八)――雪舟を継いだ画家の実像
1 謎の前半生と激動の生涯
2 画業最大の謎
3 水墨への探究心が結実した《鹿図屛風》
4 文化的スキルが結ぶ地域間ネットワーク
第2章 月 僊(一七四一~一八〇九)――名古屋生まれの奇僧 絵筆で人々を救う
1 僧侶としての生涯
2 画業と特色
3 この一点《朱衣達磨図》
4 生地名古屋との関係
第3章 亜欧堂田善(一七四八~一八二二)――銅版技法の大成者
1 亜欧堂田善の生涯
2 画業と美術史的位置づけ
3 原図とは似て非なる《フローニンヘンの新地図》の魅力
4 福島県内での田善の顕彰
第4章 蠣崎波響(一七六四~一八二六)――北辺の武人画家
1 武人画家としての生涯
2 南蘋派から円山・四条派へ
3 畢生の作《夷酋列像》
4 北海道での波響研究史
第5章 島田(谷)元旦(一七七八~一八四〇)――文晁の弟、高位の士分にして画を能くす
1 元旦の生涯
2 谷元旦と島田元旦の画業
3 『蝦夷蓋開日記』とともに味わう《蝦夷奇勝画稿》
4 郷土の誇り
第Ⅱ部 幕末明治篇
第6章 平福穂庵(一八四四~一八九〇)――旅の中に拓いた画業
1 旅多き生涯
2 画業と美術史的位置づけ
3 鮮烈なデビュー作《乞食図》
4 支え合う、画家と地域
第7章 野口小蘋(一八四七~一九一七)――近代を代表する女性画家
1 野口小蘋の生涯
2 山水画を中心とした画業について
3 この一点《甲州御嶽図》
4 画業を左右し糧となった上京と遊歴
第8章 五姓田義松(一八五五~一九一五)――旅する画家
1 流転の生涯
2 孤高の洋画家
3 見過ごされてきた名作《老母図》
4 横浜の画家としての矜持
第9章 彭城貞徳(一八五八~一九三九)――長崎における近代洋画の先駆者
1 彭城貞徳の生涯
2 彭城貞徳の画業、そして日本洋画史における位置づけ
3 《和洋合奏之図》にみる彭城貞徳の特質
4 長崎との関係
第Ⅲ部 近代篇
第10章 小杉放菴(一八八一~一九六四)――多彩なる画家
1 小杉放菴の生涯
2 小杉放菴の画業
3 画家の旅と酒《山寺有酒》
4 画家を育んだ国際観光都市・日光
第11章 児島虎次郎(一八八一~一九二九)――異文化交流の土壌を整えし者
1 異文化の交流をたずねる生涯
2 画業・美術史的位置づけ
3 古今東西の融和《白衣の少女》
4 児島虎次郎の顕彰
第12章 南薫造(一八八三~一九五〇)――“日本の印象派”
1 自然を見つめた生涯
2 画業にみる印象派との関わり
3 代表作《六月の日》
4 自然への愛着と豊かな色彩感覚を育んだ安浦・瀬戸内
第13章 萬鐵五郎(一八八五~一九二七)――未踏の絵画表現に挑んだ画家
1 萬鐵五郎の生涯
2 独自性を追い求めた画業
3 《木立風景》に潜む女学生
4 地域風土と表現性
第14章 小早川秋聲(一八八五~一九七四)――「抒情ロマンチシズム」の画家として
1 旅する画家の生涯
2 画業にみられる特徴
3 代表作《國之楯》
4 小早川秋聲と京都
第15章 廣島晃甫(一八八九~一九五一)――翻弄された大正期個性表現の精神
1 晃甫の生涯
2 画業、日本近代美術史のなかの晃甫
3 二点あった出世作《青衣の女》
4 さ迷う精神と「地域」
第16章 不染鉄(一八九一~一九七六)――漂泊の画家
1 漂泊の画家・不染鉄の生涯
2 近代に生きた文人画家・不染鉄の画業
3 《山海図絵(伊豆の追憶)》試論
4 理想郷を求めて
第17章 山口蓬春(一八九三~一九七一)――新日本画の創造、伝統美と新しい生命の追求
1 山口蓬春の生涯
2 山口蓬春の画業
3 山口蓬春《緑庭》(第八回帝展、一九二七年)について
4 葉山に開花した山口蓬春の芸術
第18章 南風原朝光(一九〇四~一九六一)――彷徨の画家
1 南風原朝光の生涯
2 画業と美術史的位置づけ
3 南風原の絵画《野菜と果物》を読み解く
4 東京・台湾・沖縄との関係
第19章 松本竣介(一九一二~一九四八)――戦争を生きた自己省察の画家
1 松本竣介の生涯
2 都会風景と自画像の画業
3 竣介の戦争画《征け大空へ》
4 竣介の住んだ町、岩手の人々との繫がり
あとがき
人名・事項索引