はじめに
序 章 近現代の熱帯アジアにおける「人口変動」と「資源制約の壁」――経済史と環境史の架橋(脇村孝平)
1 人口変動という論点
2 「外延的成長」と「熱帯の発展」
3 熱帯アジアの自然環境
4 近世の熱帯アジアにおける人口変動
5 19世紀の熱帯アジアにおける「人口革命」
6 近現代の熱帯アジアにおける資源制約の壁
7 「資源制約の壁」とは何か――諸仮説を踏まえて
8 各章への道案内
第Ⅰ部 熱帯アジアにおける自然環境と歴史的前提
第1章 熱帯アジアの自然環境と稲作(佐藤孝宏)
1 熱帯アジアの自然環境
2 熱帯アジアにおける稲作
3 熱帯アジアの人口支持基盤としての稲作
第2章 小人口世界における生業変化と人口動態――ボルネオ島北西部の事例(祖田亮次)
1 小人口世界としてのボルネオ島
2 東南アジアとボルネオ島の小人口性
3 サラワクの歴史概観
4 サラワク先住民の生業と人口
5 ボルネオ島の地生態的環境と内陸先住民の社会
6 アブラヤシ産業の影響
7 混交植生景観の形成と維持
第3章 南アジア型発展径路の基層――「人口小規模世界」の人類史的位置について(小茄子川 歩)
1 本論の目的
2 インダス平原の「環境」
3 インダス平原を特徴づけた「人口小規模世界」
4 南アジア型発展径路の基層
5 ガンジス平原における人口動態と今後の課題
6 今後の展望
第4章 中世初期の北インドにおける貨幣状況(谷口謙次)
1 中世初期北インドにおける貨幣をめぐる議論
2 R. S. シャルマと J. S. デイェル
3 インド=サーサーン朝様式鋳貨の拡大
4 貨幣から見た中世初期北インド
第5章 多様性の展開と接合――南アジア型発展径路の近世(田辺明生)
1 南アジア型発展径路とは
2 近世インドのダイナミズム
3 森からみた近世インド――オリッサの事例から
4 職分権体制による多様性接合と環境適応
5 南アジアの多様性接合型発展径路
第Ⅱ部 近現代の熱帯アジアにおける経済発展
第6章 インド洋交易圏の形成と構造,1800~1950年――ハブ・後背地・人口扶養力(杉原 薫)
1 問題の設定
2 インド洋交易圏の趨勢と構造
3 ハブ・後背地関係の形成
4 人口と交易のダイナミズム
5 展 望
第7章 海へ下るコーヒーと山に登るココヤシ――19世紀ミナハサにおける商品作物栽培と人口増(太田 淳)
1 ミナハサと商品作物栽培
2 ミナハサの環境と人びと,商品作物栽培の開始
3 トンダノにおけるコーヒー栽培,米栽培,人口
4 海岸地域におけるコーヒー栽培
5 道路の改良
6 ココヤシ栽培の拡大
7 19世紀ミナハサの経済発展条件
第8章 植民地期ベンガルの米生産と市場(神田さやこ)
1 「黄金のベンガル」から経済成長の足かせへ?
2 ベンガルの米貿易の変容――純輸出地域から純輸入地域へ
3 東部における稲作の発展と停滞
4 西部における米の市場化の進展
5 市場とベンガル農業
第9章 植民地時代までの西アフリカ経済――比較研究のための覚書(小林和夫)
1 世界経済史におけるサブサハラ・アフリカ
2 植民地化以前の西アフリカ経済――生産要素賦存と環境
3 植民地化以前の西アフリカ――ヨーロッパ人の到来後
4 換金作物貿易への移行から植民地経済へ
5 西アフリカにおける経済発展の基盤と人びとの選択
第10章 南アジア海運の定量的比較研究――1874~1913年(木越義則)
1 貿易史と海運史の架橋
2 世界における南アジア海運
3 鉄道と海運の関係
4 汽船と帆船の競合関係(1)――外国海運
5 汽船と帆船の競合関係(2)――国内海運
6 帝国航路の構造
7 東アジア海運からの展望
第11章 「緑の革命」とは何だったのか?(藤田幸一)
1 背景とねらい
2 「緑の革命」とその前史
3 広義の「緑の革命」の進展
4 「緑の革命」とは何だったのか?
人名索引
事項索引