序 章 ポスト成長社会と感性的豊かさ
1 感性による社会探究の可能性
2 ポスト成長社会と感性的豊かさ
3 本書の構成
第Ⅰ部 理論的考察の展開
第1章 社会空間への感性的アプローチ
1 「社会を感じる」こと
2 社会空間の雰囲気
3 対象中心的知覚と感性的認識
4 社会学的研究への接続
5 感性的豊かさの理論的考察
第2章 遊びの空間と美的社会──シラーの人間学から
1 遊びの感性的質
2 遊びの運動性──目的なき自在な往還運動
3 自由な遊びの美
4 遊戯衝動と美的社会
第3章 感性的豊かさの再分配──ランシエールの芸術論から
1 感性的なものの分配
2 近代の美的革命
3 遊戯能力の平等
4 スラム街と感性的豊かさ──ペドロ・コスタの映画から
5 ランシエールとブルデュー社会学
第Ⅱ部 経験的研究に向けて
第4章 社会空間を「あじわう」──アーケード商店街を事例に
1 現代美学・感性論と社会空間
2 感性的認識としての「あじわう」
3 アーケード商店街を「あじわう」──「静けさ」「透明さ」「リズミカルな振動」
4 社会的・歴史的背景の探究
5 社会科学と感性的アプローチ
第5章 沖縄社会への感性的アプローチ──「自治の感覚」を中心に
1 沖縄を歩く──紀行エッセイから
2 日常生活にみる「自治の感覚」
3 地上戦・占領統治の社会的体験
4 「自治の感覚」の実在性
5 あらためて沖縄を歩く、感じる
第6章 都市空間への感性的アプローチ──方法としての散歩
1 散歩と空間認識
2 日常的な散歩──近隣住宅地のあじわい
3 ショッピングモールの散策──フラヌールと美的資本主義
4 路地裏の漂流──落書きのコミュニケーション
5 路上の現象学──街区のさまざまな雰囲気
6 グラウンドゼロへの遊歩──都市の傷痕
7 方法としての散歩
終 章 課題と展望──感性的探究の社会学に向けて
1 実践的客観性と自己エスノグラフィー
2 「経験の観念化」批判と脱成長論
3 レゾナンスの社会学
補論2 成熟社会の災害復興──阪神・淡路大震災と「復興」の感性的側面
1 「復興」とは何か
2 行政実務における「復興」
3 開発型復興批判と成熟社会
4 再生型復興の理念
5 「復興」の感性的側面を考える
補論2 「自分の言葉」で語ること──言葉の感性的次元をめぐって
1 「自分の言葉」で語る
2 アタマ言葉とカラダ言葉
3 合理的言説と感情表出の抑圧──会議の場面をふりかえる
4 自己表出の言葉と声の身体性
5 言葉の感性的次元を考える
あとがき
初出一覧
参考文献
索引
コラム
1 社交性と美学──シラー、ジンメル、バーリアント
2 「美」と「正義」の関係性
3 散歩と社会空間
4 交わりの豊かさ
5 「復興」と「尊厳ある縮退」