「大分岐論争」とは何か
中国とヨーロッパの比較
著:パトリック・カール・オブライエン
訳:玉木 俊明
内容紹介
2000年にポメランツが『大分岐』を上梓して以降、ヨーロッパが中国よりも経済的に優勢であったのではなく、近世(1500年から1800年)のある時期、中国がヨーロッパの経済力を上回っていたということが、世界の経済史学界のコンセンサスになった。本書は、このような研究動向を咀嚼しつつ、計量経済学の成果とともに、環境史・農業史・科学史の観点を含め、中国とヨーロッパの比較を行う。グローバル経済史の碩学による最新の大分岐論。
目次
日本語版への序文
序文と謝意
第1章 研究史整理と文献紹介
「大分岐」とは何か
ヨーロッパに伝わった中華帝国の情報
中国が直面した困難
相対的衰退はなぜ生じたのか
「大分岐」論へ
第2章 中華帝国と西欧の経済的分岐に関する統計ベース――1636~1839年
中国の有機経済
理論的根拠を求めて
到達した結論
アンガス・マディソンのアプローチ
社会集団に焦点を当てる
第3章 環境と天然資源
西洋の勃興と中国の衰退
中国の農業史
中国の農業経済
ヨーロッパ中心主義からの脱却
「不可逆的な変化の局面」への対処
第4章 明清という帝国主義国家とその農業経済
カリフォルニア学派の挑戦
反駁されてこなかった論点
説得力ある見方の登場
大分岐が明確になった原因
危機を放置した清国
太平天国の乱
利用できない統計的証拠
「17世紀の危機」の影響
第5章 ヨーロッパと中国の相互比較――経済成長 1650~1850年
一つの重要な結論
南北アメリカの立ち位置
大収斂と大分岐
エネルギー問題と中国
枯渇する森林資源
経済理論と都市史の協働
軍事的紛争のコスト
第6章 ヨーロッパと中国における有用で信頼のおける知識の発見・発展・普及
人間の営為における進歩と革新
知識の形成と普及
世界史的エポックからの刺激
ニーダムの問い
中国のエリート教育
「賢明」な近代中国科学
終 章 論争をともなう結論
議論の終焉
私の結論
訳者解説
訳者あとがき
参考文献
索 引
ISBN:9784623096183
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:4-6
。ページ数:212ページ
。定価:2800円(本体)
。発行年月日:2023年12月
。発売日:2023年11月29日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCZ。