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グリム兄弟とその学問的後継者たち

神話に魂を奪われて

著:横道 誠

紙版

内容紹介

兄弟は何をめざし、何を残したのか。グリム兄弟の学者としての研究の学際性、民族主義やナチズムとの関係、多言語性などに注目し、彼らについての総体的な理解を提示する。包括的かつ独創的なグリム兄弟論。

目次

凡 例
序――野生のゲルマニスティク


 第Ⅰ部 学者としてのグリム兄弟

第1章 旧1000マルク紙幣を手がかりとして
 1 グリム童話とその編纂者
 2 多言語、学際性、歴史
 3 理念と現実

第2章 兄と弟の魂が共鳴する?
 4 経歴と思想史的展望
 5 著作集と書簡
 6 魂の片割れ
 7 兄の思い、弟の思い
 8 原風景と視覚性
 9 植物マニア
 10 文系と理系
 11 学問分野、三位一体、「ゲルマニスト」

第3章 学問分野
 12 法 学
 13 文学研究
 14 民俗学
 15 諸言語についての補説
 16 言語学
 17 宗教学

第4章 政治性
 18 ヘッセンとナポレオン時代
 19 「ドイツ」と「ゲルマン」
 20 民族と自由

第5章 グリム兄弟と民間伝承
 21 カントの宇宙論、ヘルダーの地球論、そしてグリム兄弟
 22 文明人と未開人
 23 民族と民衆、自然と本性、芸術と技巧と人為

第6章 『子どもと家庭の昔話集』の成立
 24 歴史的背景、機運、ブレンターノ
 25 読者、取材源、自然と教養
 26 著者問題、収集、女性
 27 忠実さ
 28 残酷さと性的要素
 29 本文と注釈、初版から第二版へ


 第Ⅱ部 グリム兄弟とその学問的後継者たち

第7章 太古に結ばれた昔話
 30 昔話の注釈、神話と伝説
 31 「灰かぶり」と「ビャクシンの話」
 32 釘樽の刑
 33 ボルテとポリーフカ
 34 系統マニア
 35 フィンランド学派とその批判者たち
 36 世界神話学

第8章 ゲルマンとロマンスの相克
 37 ゲルマニアの森
 38 古スペイン語ロマンセ
 39 ロマニスティクとディーツ
 40 クルツィウスと三人のグリム

第9章 『歌謡エッダ』の企画
 41 古アイスランド語、エッダ、王の写本、英雄の歌
 42 兄弟間の対立とその解消
 43 出版に向けて競争する
 44 梗概と音韻
 45 逐語訳と自由訳
 46 ジムロック、ゲンツマー、クラウゼ

第10章 「マンハルト型の学説」
 47 『ドイツ神話学』
 48 『森と畑の祭祀』
 49 『金枝篇』
 50 ドイツ語を英語に翻訳するフレイザー
 51 「マンハルト型の学説」の崩壊
 52 学問と文学のあいだの『金枝篇』、イギリスの事例
 53 ハイネ、柳田國男、折口信夫、石田英一郎、井本英一

第11章 「眠り姫」
 54 「森のひそやかさ」
 55 「眠り姫」と「茨姫」
 56 「茨姫」という名、性の問題
 57 茨姫としてのベッティーナ、王子としてのヴィルヘルム
 58 「茨姫」注釈全三版
 59 兄弟の共闘
 60 注釈の文体の変遷
 61 改めてボルテとポリーフカ
 62 ゴルター
 63 アールネ、トムソン、レート
 64 ウター
 65 ニーマン
 66 張雲容
 67 話型「眠り姫」の全体像
 68 江戸時代の「眠り姫」


付 論 ジェンダー論の観点からの展望
 69 ジェンダー研究
 70 女と男、LGBTQ+


結 語――「海外ゲルマニスティク」の可能性
あとがき
文献表

著者略歴

著:横道 誠
2023年10月現在
京都府立大学文学部准教授

ISBN:9784623095148
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:504ページ
定価:9000円(本体)
発行年月日:2023年09月
発売日:2023年07月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB