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原爆の世界史

開発前夜から核兵器の拡散まで

著:アンドリュー・J・ロッター
他訳:川口 悠子
他訳:繁沢 敦子

紙版

内容紹介

原爆が変えた世界の歴史・日本の歴史
19世紀の黎明期から戦争を経て、今日の核保有へと至る道筋を膨大な先行研究を咀嚼し、明快に叙述する。

広島・長崎への原爆投下は、いかにしてなされ、その後の世界にどのような影響を及ぼしたのか。本書は、膨大な先行研究を咀嚼したうえで、原爆投下を広い時間的・空間的枠組みのもと、世界史の文脈の中に位置づける。19世紀の黎明期以来、各国で核物理学の研究が進み、毒ガス攻撃や空爆など新たな戦争の手段が登場する中で、各国政府・軍部と科学者たちはいかに行動したか。核兵器の開発・製造・使用・保有のグローバルな歴史を俯瞰する。

目次

謝 辞

序 章 原爆の世界史
 1 明快さと単純さと
 2 国境を越えて

第1章 科学の共和国と国家
 1 原子を解剖する
 2 科学の共和国
 3 共和国の危機――毒ガスの登場
 4 実戦における毒ガス使用をめぐる倫理
 5 科学者と国家――ソ連とアメリカ
 6 科学者の倫理的責任

第2章 イギリス――亡命者、空軍力、原爆の可能性
 1 ヒトラーの贈り物であったイギリスの科学者たち
 2 航空力の出現
 3 戦争の再発と空爆の新たなドクトリン
 4 核分裂の発見と原爆の再想像

第3章 日本とドイツ――選択されざる道
 1 ウランの発見
 2 ドイツにおける進展
 3 日本の核開発計画
 4 ドイツの核開発計画
 5 アメリカとイギリスにおける進展

第4章 アメリカ(1)――原爆の想像と創造
 1 モード委員会とアメリカ人
 2 真剣になるアメリカ
 3 戦争へ向けて
 4 原爆の製造と使用を決意
 5 オッピー
 6 グローヴズ
 7 計画の中央集権化
 8 核分裂――ウランとプルトニウム
 9 「丘」の上の生活と作業
 10 異なる類の兵器

第5章 アメリカ(2)――原爆投下
 1 なぜ原爆は使用されたのか――四人の回想
 2 対ドイツ戦の進展
 3 連合国と対独戦略爆撃
 4 太平洋における戦争
 5 対日爆撃
 6 焼夷弾爆撃と原爆攻撃
 7 疑問を抱く人々の存在
 8 退けられた反対意見
 9 アラモゴードに向けて――一九四五年七月
 10 ポツダムでのトルーマン
 11 なぜ原爆は投下されたのか
 12 原爆の代案――市民の攻撃に対する道義的反論
 13 恐怖の境界線――毒ガス

第6章 日 本――二発の原爆と戦争の終結
 1 敗勢の日本
 2 侵略者と戦うための準備
 3 リトル・ボーイ投下の準備
 4 作戦番号一三
 5 爆撃後の都市
 6 爆撃を受けた人々
 7 いくつかの反応のかたち
 8 原爆の衝撃波
 9 ソ連参戦と長崎への原爆投下
 10 六巨頭の激論
 11 日本降伏の理由
 12 ヒロシマ・ナガサキにおける被害の評価
 13 「何もかもなくなった」――ヒロシマの記憶

第7章 ソ 連――原爆と冷戦
 1 衝撃の広がり
 2 原爆投下に対するアメリカ国内の反応
 3 ソ連の初期の原爆開発計画
 4 ソ連の原爆スパイ
 5 スターリンによる原爆開発の決定
 6 原爆と冷戦の始まり
 7 応 酬――「スーパー」の開発
 8 軍拡競争と核兵器の多様性
 9 核兵器の限界――キューバ・ミサイル危機

第8章 核兵器の拡散――第二次世界大戦後の核開発競争
 1 秘密主義と公開主義
 2 イギリス
 3 フランスの原爆
 4 イスラエル――安全保障と地位
 5 南アフリカ――核開発の瀬戸際からの後退
 6 中 国――人民の原爆
 7 インド――地位、宗教、男らしさ
 8 核兵器に対する批判

終 章 悪夢と希望
 1 続く悪夢
 2 ヒロシマに立ち戻る

訳者あとがき
参考文献

人名・事項索引

著者略歴

著:アンドリュー・J・ロッター
2022年9月現在
コルゲート大学歴史学部教授
他訳:川口 悠子
2022年11月現在
法政大学理工学部電気電子工学科教授
他訳:繁沢 敦子
2022年11月現在
神戸市外国語大学外国語学部英米学科准教授

ISBN:9784623094325
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:440ページ
定価:5500円(本体)
発行年月日:2022年11月
発売日:2022年12月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPS