プロローグ
第Ⅰ部 理論編
第1章 トランスジェンダーをめぐる歴史と今
1 トランスジェンダーにまつわる用語の整理
2 トランスジェンダーをめぐる歴史を辿る──聖なる存在から精神病者へ
3 トランスジェンダーを取り巻く現代の医療・社会制度
4 第1章のまとめ
第2章 性をめぐって語られてきたこと
1 古代の哲学──プラトンの『饗宴』において描かれたエロスの寓話
2 精神分析は性をどう捉えてきたか
3 制度・権力に支配される性
4 性を捉えるための現象学的視点の導入
5 トランスジェンダー現象学
6 第2章のまとめ
第3章 近年の実証的研究が明らかにしてきたこと
1 「一般的・平均的」なトランスジェンダーのあり方を記述する数量的な調査研究
2 トランスジェンダーを生きるという経験に注目した研究
3 筆者が明らかにしたい「体験」とその「質感」
4 第3章のまとめと本書の問題と目的
第4章 方法論
1 体験をどう記述するか
2 体験の記述をどう読んでもらうか──読み手に「追体験」してもらうために
3 「追体験」を求める記述がどのように学術的な知と言えるのか
第Ⅱ部 事例編
第5章 性を他者との関係性から捉え直す──〈雰囲気〉
1 性は要素に分けて記述できるものなのか
2 協力者とインタビューの概要
3 口にせずともなぜか伝わってしまう
4 性は他者から〈雰囲気〉として感じ取られる
第6章 トランスジェンダーを生きるという体験に伴われる実感──〈擬態〉
1 トランスジェンダーを生きるという体験の「実感」
2 協力者とインタビューの概要
3 ビクビクと息をひそめる感じ,後ろめたさなどの実感
4 トランスジェンダーを生きるという体験に伴われる実感とその背後にあるもの
第7章 トランスジェンダーの人々はどのように他者や社会とつながっていくのか──〈器〉
1 トランスジェンダーの人々が安心して生きるためには
2 協力者とインタビューの概要
3 トランスジェンダーの人々が自然体でいられるために必要なこと
4 「受け止め」としての言語的概念と他者の存在
第8章 最終考察
1 トランスジェンダーを生きる体験の深部にある構造──〈雰囲気〉〈擬態〉〈器〉のつながり
2 どうすれば他者はトランスジェンダーを生きる人の〈器〉になれるのか
3 これまでの研究の問題点をどのように乗り越えたのか
4 本書から導かれるトランスジェンダーの人々への「支援」のあり方
5 体験をあぶり出すための「質感」的心理学
6 今後の展望
引用文献
付録──町田なりの語り合い法手引き
本書を読んで──町田さんという人の「実感」(大倉得史)
エピローグ
索 引