フランス映画に学ぶリスクマネジメント
人生の岐路と決断
著:亀井 克之
著:杉原 賢彦
内容紹介
映画はリスクマネジメントを学ぶ宝庫だ。映画最大の見どころ、すなわちリスクやクライシスが生じたとき、主人公たちがどう決断したのか。一歩間違えば人生の苦渋を味わうことになるかもしれない瞬間にこそ、最上のドラマが生まれる。とびきりのフランス映画を題材に、あるべきリーダーシップを、レジリエンスを、あるいはパンデミックを乗り越える術を知る。
目次
まえがき
序 章 なぜ映画で危機管理?
(リュミエール兄弟『水を撒かれた散水夫』一八九五年)
第1章 リスク
(マルセル・カルネ監督『天井棧敷の人々』一九四五年)
これぞフランスのエスプリ(精神)! 時代を超えて、響く映画の心意気――作品解説
『天井棧敷の人々』に学ぶ
第2章 リスクマネジメント
(アンリ=ジョルジュ・クルーゾ監督『恐怖の報酬』一九五三年)
人生最大の危険はニトログリセリンで吹き飛ばせ!――作品解説
『恐怖の報酬』に学ぶ
第3章 クライシス(危機)
(ルイ・マル監督『死刑台のエレベーター』一九五八年)
危険な愛の涯てにあったものは……――作品解説
『死刑台のエレベーター』に学ぶ
第4章 リーダーシップ
(ジャン・ルノワール監督『フレンチ・カンカン』一九五四年)
親方(パトロン)居ずしてムーラン・ルージュなく、主役(ヒロイン)なくして成功なし――作品解説
『フレンチ・カンカン』に学ぶ
第5章 リスクテーキング
(ロベール・アンリコ監督『冒険者たち』一九六七年)
青春とは、命がけのリスクを背負ってこそ輝くもの――作品解説
『冒険者たち』に学ぶ
第6章 レジリエンス
(レオス・カラックス監督『ポンヌフの恋人』一九九一年)
映画に波瀾万丈はつきもの、そして人生もまた……――作品解説
『ポンヌフの恋人』に学ぶ
第7章 パンデミック
(ジャン=ポール・ラプノー監督『プロヴァンスの恋』一九九五年)
死の伝染病(パンデミック)を越えて生き抜く愛、そして自由――作品解説
『プロヴァンスの恋』に学ぶ
第8章 ブレイクスルー(危機突破)
(オリヴィエ・ナカシュ、エリック・トレダノ監督『最強のふたり』二〇一一年)
ひとつの決意は人を強くし、不可能な友情を可能にした――作品解説
『最強のふたり』に学ぶ
第9章 コミュニケーション
(フォルカー・シュレンドルフ監督『パリよ、永遠に』二〇一四年)
パリ壊滅の危機、ひとりの外交官の想いがパリの夜に木霊した――作品解説
『パリよ、永遠に』に学ぶ
第10章 ジレ ンマ
(クロード・ルルーシュ監督『男と女』一九六六年、『男と女 人生最良の日々』二〇一九年)
男と女、パリ=ドーヴィル、その先にあるのは……愛――作品解説
『男と女』(一九六六)・『男と女 人生最良の日々』(二〇一九)に学ぶ
第11章 コーディネーション
(フランソワ・トリュフォー監督『映画に愛をこめて アメリカの夜』一九七三年)
危機また危機、映画の現場は、だから楽しい!――作品解説
『映画に愛をこめて アメリカの夜』に学ぶ
フランス映画史年表
あとがき
人名・事項索引
コラム
1 映画とともにある国、フランス
2 「映画のゆりかご」――ラ・シオタと世界最古の映画館エデン・テアトル
3 パテとゴーモン、フランス映画の徴(しるし)
4 フランス映画と名台詞――字幕翻訳家の世界
5 詩的レアリスムvs.新しい波(ヌーヴェル・ヴァーグ)
6 ヌーヴェル・ヌーヴェル・ヌーヴェル・ヴァーグ
7 ソーシャル・リスクマネジメント
8 シネマテーク・フランセーズ
9 フランス人は渋男がお好き?――いぶし銀のフランス俳優列伝
10 彼女の名はマリアンヌ――フランスの女神は女優とともに
11 映画の格言と名言