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日本酒学講義

編:新潟大学日本酒学センター

紙版

内容紹介

日本で最も多くの酒蔵があり、多様な日本酒が造られている新潟県。その知の拠点として、地域のみならず、世界の発展に資する役割を果たしてきた総合大学である新潟大学では、2018年から日本酒について、全学問領域を網羅した世界初の日本酒学の確立に取り組んできた。本書では、その結実の一つである名物講義「日本酒学」の内容を収録。製造から販売、文化、歴史まで、本格的に日本酒を学びたいすべての人に贈る1冊。

目次

はじめに
 
序 章 日本酒学への招待(鈴木一史・岸 保行)
 1 日本酒学とは何か?
 2 「学問」としての日本酒学
 3 日本酒学の意義と可能性
 4 本書の構成
 コラム1 清酒酵母とその周辺(西田郁久)


 第Ⅰ部 日本酒の基礎

第一章 日本酒とは(平田 大)
 1 日本酒を学ぶための基礎知識
 2 酒類の分類
 3 日本酒の定義と分類
 4 日本酒の原料と製造法

第二章 日本酒の歴史(後藤奈美)
 1 神話の時代から平安時代――「八醞酒」から「僧坊酒」へ
 2 鎌倉時代から江戸時代――日本酒造りの基礎の確立
 3 明治時代から第二次世界大戦――近代科学の導入と戦争の影響
 4 戦後から令和――新しい日本酒像の模索
 コラム2 古典文芸の中の酒(畑 有紀)


 第Ⅱ部 日本酒と地域
第三章 日本酒の地域性と新潟清酒の特徴(金桶光起)
 1 米・水・気候・人の地域性
 2 新潟清酒のはじまりと特徴
 3 酒質の変遷――濃醇甘口から淡麗辛口へ
 
第四章 日本酒の地域性と多様性(伊藤亮司)
 1 地域概念の拡大と日本酒の「個性」をめぐる対抗関係
 2 日本酒生産の地域間格差とその歴史性
 3 経営指標に現れる各県の酒造りのコンセプト――愚直な新潟清酒
 4 情報化時代における日本酒の流通と新たな競争構造
 5 改めて良い酒とは

第五章 酒造組合の活動と変遷(大平俊治)
 1 組合設立初期の活動――新潟の酒造りを変える
 2 高度経済成長期の活動
 3 「にいがた酒の陣」開催までの苦悩と成功
 4 日本酒学の「これまで」と「今後」
 コラム3 米作りから見る日本酒学(宮本託志)


 第Ⅲ部 日本酒と科学

第六章 日本酒と料理(伏木 亨)
 1 日本酒と料理のマリアージュとは
 2 辛口と甘口をめぐって
 3 日本酒と料理のペアリングの評価実験
 4 魚の臭みを消す日本酒の技――鍵は嗅覚のメカニズム
 5 ワインの代替えではなく、日本酒の飲み方の文化を海外に

第七章 日本酒と健康(伊豆英恵)
 1 飲酒と健康
 2 アルコール飲料の種類と健康
 3 エタノールの生体への影響
 4 自分のアルコール体質を知る
 5 人はなぜお酒を飲むのか
 
第八章 アルコールと脳(武井延之)
 1 なぜ「酔う」のか?――アルコールの作用機序
 2 なぜお酒(アルコール)を飲みたくなるのか?――アルコールの報酬効果
 3 アルコール依存症とは?
 コラム4 食品の美味しさの秘密(藤村 忍・山口智子)
 コラム5 糖尿病と飲酒・アルコール摂取について(山本正彦)


 第Ⅳ部 日本酒と社会

第九章 日本酒の経営学(岸 保行)
 1 日本酒の重層的世界
 2 ワインの戦略スタイルに合わせた国際展開
 3 三つの戦略的アプローチ――製品適応・慣習移植・慣習適応
 4 国際展開がもたらす国内での販売戦略の深化
 5 日本酒の未来

第一〇章 日本の酒類のグローバル化(都留 康)
 1 グローバル化とは何か
 2 日本酒のグローバル化――真の世界化に向けて
 3 ビールのグローバル化――大手三社の輸出と海外生産
 4 ウイスキーのグローバル化――確立した国際評価と求められる品質確保施策
 5 焼酎のグローバル化――容易ではない国際化への道
 6 グローバル化の先にあるもの

第一一章 日本酒と税(小坂井博)
 1 税法における酒類
 2 酒税の制度の概要
 3 国家財政上の酒税
 4 酒類及び清酒の課税数量の傾向
 5 清酒の容器や包装の表示事項
 コラム6 酒粕と健康(柿原嘉人・佐藤茉美)


 第Ⅴ部 日本酒と文化

第一二章 日本酒のマナー(渡辺英雄・村山和恵)
 1 マナーと法
 2 飲酒に関わる法
 3 マナーと日本の礼儀作法
 4 酒席でのふるまいを実践する

第一三章 日本酒アンバサダーになろう(田中洋介 )
 1 インバウンドと日本酒が持つコンテンツとしての可能性
 2 日本酒の伝え方と日本酒にまつわる文化風習
 3 日本酒ペアリングのポイント
 4 「世界酒」へ挑戦するSAKE
 
第一四章 日本酒と料亭・花街の文化(岡崎篤行 )
 1 町並みを彩る酒蔵
 2 料亭と和宴の文化
 3 伝統文化としての和食
 4 料亭建築の特徴
 5 伝統文化継承者としての芸妓
 6 花街は最後の純和風空間
 コラム7 海外からみた日本酒(アンドリュー C ウィタカ )

 
おわりに
索  引

著者略歴

編:新潟大学日本酒学センター
2017年,日本酒に関する文化的・科学的な広範な学問分野を網羅する世界初の「日本酒学」の構築,日本酒学の国際的拠点の形成を目的として,新潟県,新潟県酒造組合,新潟大学の三者で連携協定を締結。日本酒学センターは,この協定の目的を達成するために,新潟大学内に設置され,2020年に全学共同教育研究組織となった。日本酒に係る「教育,研究,情報発信,国際交流」に関する事業を展開している。

*本情報は2022年4月時点のものです

ISBN:9784623093182
出版社:ミネルヴァ書房
判型:4-6
ページ数:328ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2022年03月
発売日:2022年03月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TDCT