帝国をつなぐ〈声〉
日本植民地時代の台湾ラジオ
著:井川 充雄
内容紹介
1925年に始まった日本のラジオ放送は、1928年11月の御大礼を中継するべく、「外地」や満洲国も含めた放送網の整備を進めた。日中戦争が始まると、「東亜放送網」を形成し、日本の版図全域に拡大。ラジオは国語やラジオ体操の普及など、国民化=皇民化のための文化的統合の手段として用いられ、また台湾放送協会は南方への宣伝の拠点ともなった。本書は、台湾を舞台に、帝国をつなぐ〈声〉として機能した初期ラジオの実相を明らかにする。
目次
序 章 「帝国」の時代に、ラジオはいかに響いたか
第Ⅰ部 台湾放送協会の設立と発展
第一章 台湾におけるラジオの登場
1 乱れ飛ぶ電波
2 天皇の〈声〉への希求──御大典と台北放送局の設立
3 台湾放送協会の設立
4 総督府交通局と台湾放送協会
第二章 台湾ラジオと東亜放送網の拡充
1 日台ネットワークの確立
2 内地と外地の交換放送
3 東亜放送網の形成
4 太平洋戦争下の東亜放送
第Ⅱ部 台湾社会とラジオ
第三章 時差撤廃とラジオ──ラジオの作る時間観念
1 帝国と標準時
2 時差撤廃をめぐる論争
3 時差撤廃の前後
4 ラジオの作る時間
第四章 日本統治時代の台湾におけるラジオ体操──動員される身体
1 ラジオ体操と身体
2 台湾におけるラジオ体操の開始
3 ラジオ体操の集団化
第五章 日本統治時代の台湾におけるラジオリスナー
1 統計調査から見るラジオ聴取者
2 台湾人の日記に見るラジオ
第六章 台湾におけるラジオ塔──日本統治下の台湾におけるラジオの共同聴取
1 遺構としてのラヂオ塔
2 ラヂオ塔の設置
3 台湾におけるラヂオ塔の設置
4 事変後のラジオと聴取者
第Ⅲ部 戦時下の台湾放送協会
第七章 アジア・南方への拠点としての台湾放送協会
1 台湾放送協会に対するアジア・南方への拠点としての期待
2 台湾のラジオ放送聴取調査
3 台湾放送協会による海外放送の開始
4 民雄放送所の設置と太平洋戦争
第八章 太平洋戦争下の台湾放送協会
1 副見喬雄と台湾総督府交通局
2 太平洋戦争の開戦当日
3 二重放送の開始
4 その他のインフラ整備
第九章 台湾における玉音放送──台湾統治の終わりの始まり
1 外地における玉音放送
2 台湾における玉音放送
3 接収までの経緯
4 接収後の台湾のラジオ放送
終 章 解体される「帝国」とラジオ
主要参考文献
あとがき
人名・事項索引
ISBN:9784623092796
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:A5
。ページ数:260ページ
。定価:7000円(本体)
。発行年月日:2022年02月
。発売日:2022年02月15日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KNTC。