はじめに
第Ⅰ部 日本の政治・外交にとっての「危機」と戦争
第1章 日本外交による満洲事変正当化の論理――「満蒙特殊権益論」の二度の転換、一九一九~三二年(中谷直司)
1 勢力圏外交秩序後の東アジア
2 一九二〇年代の東アジア国際政治と日本外交
3 信夫淳平の満蒙特殊権益論
4 満蒙特殊権益論の再転換――満洲事変の意義
第2章 満洲事変後における日満労働統制の試み――公立職業紹介事業の対満進出(町田祐一)
1 経済危機と対外危機の中の満洲
2 内地職業紹介行政の展開と日満労働統制の模索
3 日満労働統制構想と挫折
4 日満労働移動統制の構想と挫折
5 日満労働移動ネットワークの展開へ
第3章 戦時期日本における代議士と利益団体――加藤鐐五郎と陶磁器業界を中心に(手塚雄太)
1 代議士の「強固な地盤」はどのように維持・更新されたのか
2 加藤鐐五郎の略歴と政治的位置
3 陶磁器業界の概要
4 支持基盤としての陶磁器業界
5 日中戦争期の陶磁器業界と加藤
6 アジア・太平洋戦争期の陶磁器業界と加藤
7 「危機」の時代における媒介者としての代議士
第4章 「終戦工作」における宮中勢力の動向――木戸幸一内大臣を中心に(茶谷誠一)
1 「終戦工作」研究と宮中の位置づけ
2 「試案」作成までの経過と背景
3 六月二二日「御召」御前会議とその後の経過
4 ポツダム宣言受諾の政治過程と宮中
第Ⅱ部 日本のメディア人にとっての「危機」と戦争
第5章 政治家・永田秀次郎の国際交流――東京オリンピック、エスペラント、世界教育会議を中心に(浜田幸絵)
1 「国家的なもの」と「国際的なもの」
2 永田秀次郎の人物像
3 永田秀次郎と一九四〇年東京オリンピック招致――紀元二六〇〇年と国際イベント
4 永田秀次郎とエスペラント――「愛国運動」とエスペラントの両立
5 永田秀次郎と世界教育会議――日本に対する偏見・誤解への挑戦
6 国家意識によって支えられた国際交流
第6章 日中戦争期における中国専門記者の認識と活動――太田宇之助を中心に(島田大輔)
1 太田宇之助とは誰か
2 日中戦争以前の太田の中国認識
3 日中戦争における太田の認識と活動⑴――盧溝橋事件から支那派遣軍嘱託就任まで
4 日中戦争における太田の認識と活動⑵――南京駐在時期に実施に関与した政策
5 試される中国専門記者――太田宇之助と日中戦争
第7章 言論人・正木ひろしの国際認識――戦中期を中心に(片山慶隆)
1 正木ひろしの国際認識に注目する意義
2 『近きより』について
3 中国認識
4 英米認識
5 独伊認識
6 正木の国際認識とその特徴
おわりに
事項索引
人名索引