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テキーラとメスカル

同じ起源をもつアガベ・スピリッツ

著:Sarah Bowen
他訳:小澤 卓也

紙版

内容紹介

メキシコにはアガベと呼ばれるリュウゼツランからつくられたテキーラとメスカルという蒸留酒がある。
同じ起源をもつふたつの酒だが、特定の土地でつくられたテロワール産品はテキーラとしてグローバルに知られるようになった。そして近年ではそれを追いかけてメスカルもメキシコのローカル市場から脱却しようとしている。
本書は、同じ起源をもつにもかかわらず異なる産品となった香気に富むこのふたつについて、生産現場から消費地までをつぶさに踏査のうえ名酒生産がはらむポリティクスを読み解く。
(原著 Sarah Bowen,2015, Divided Spirits,Tequila,Mezcal, and tfhe Politics of Production, University of California Press.)

目次

第1章 産地の保証
   メスカルとテキーラの起源
   メキシコ産スピリッツの保護と定義
   食はどこからやってくるのか
   テロワール・伝統・コンテチーズ
   フランスにおいて地域の味を生み出すということ
   テロワールをめぐる戦争
   産地保護による利益
   世界に向けたテロワールの解釈
   発展モデルか、それとも日常的ビジネスか
   メキシコ・モデル
   名称に関する注記

第2章 畑からあなたのグラスへ
   メスカルの誕生
   蒸留技術の普及
   メスカルと植民地国家
   グローバル市場に打って出るテキーラ──ポルフィリオ期
   革命とテキーラ
   メキシカン・スピリッツの保護とマーケティング
   新自由主義とテキーラブーム
   テキーラのその先に
   メスカルの不均質な産業化
   メスカルの危機と岐路
   メスカルを定義する
   テキーラの今
   標準化とグローバル化
   メスカルの多様性と差別化
   メスカルの市場
   メキシコのスピリッツ

第3章 誰がルールを定めるのか──テキーラの品質の創出および定義
   テキーラの品質を定義する
   テキーラの品質を管理する
   テキーラの産地
   品質基準で見落とされているもの
   伝統の味
   アガベのピニャとテキーラのテロワール
   グローバルな野心
   政府の役割

第4章 アガベの心臓部──テキーラゆかりの地での農業
   農家の生活
   余剰と不足の周期を生み出すもの
   1999~2003年のアガベ不足
   テキレロたちの反応
   危機のなかの農家
   厳しい時期がまたやってくる
   見えない労働者と労働ヒエラルキー
   社会的農地契約の解体

第5章 原産地名称の影に隠れたメスカル
   メスカルを公式なものに
   メスカルの境界線を引く
   メスカルの品質
   伝統の定義づけ
   認証の代償
   メスカルの標準化

第6章 ヒップスター、希望、そしてクラフト・メスカルの未来
   真正性をマーケティングする
   カネと正義
   アメリカ合衆国の権力
   伝統の共有から協力的戦略へ
   メスカルの新時代

第7章 メキシコ産スピリッツの未来
   変化する規制
   市場の危機と希望
   市場の枠組みを超えて

方法論に関する補記


訳者あとがき
引用文献
索引

著者略歴

他訳:小澤 卓也
2021年6月現在
神戸大学大学院国際文化学研究科教授

ISBN:9784623091102
出版社:ミネルヴァ書房
判型:4-6
ページ数:364ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2021年06月
発売日:2021年06月04日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TDCT