はじめに──日本でアメリカ文学を学ぶ意義
第Ⅰ部 アメリカ文学のコンテクスト──時代と社会
1 ピューリタン文学・啓蒙主義──信仰から道徳へ
2 ロマン主義──拡張する領土と越境する想像力
3 超越主義──アメリカの知的独立宣言
4 アメリカン・ルネサンス──新興国家の「文ルネサンス芸復興」
5 地方色文学──ローカルカラーの作家たち
6 リアリズム──ロマン主義と自然主義のはざまで
7 自然主義──「内面」にさようなら
8 モダニズム前夜──〈他者〉の復権
9 モダニズム(詩)──伝統と革新
10 モダニズム(小説)──客観的真実から主観的世界構築へ
11 失われた世代──離脱と帰還
12 サザン・ルネサンス──故郷という桎梏へ,弁明と解放
13 1930年代社会派小説──世界大恐慌の時代における文学的営み
14 黒人文学──言葉と音声のアート
15 ハーレム・ルネサンス──アフリカ系アメリカ人初の芸術文化運動
16 ユダヤ系アメリカ文学──定義をめぐる冒険
17 ビート・ジェネレーション──反逆児たちの革新的精神
18 ポストモダニズム(詩)──既存の社会への対抗と新しい社会の創造
19 ポストモダニズム(小説)「何でもあり」の世界?
20 ネイチャーライティング──自然体験の文学
21 現代文学──物語の作り手を取り巻くふたつの「9.11」から
22 日系・中国系・コリア系文学──その歴史と現在
23 先住民文学──部族社会とアメリカ社会の往還
第Ⅱ部 アメリカ文学のテクスト──作家と作品
1 アン・ブラッドストリート「愛しい優しい夫へ」
2 チャールズ・ブロックデン・ブラウン『ウィーランド』
3 ワシントン・アーヴィング『スケッチ・ブック』
4 ジェイムズ・フェニモア・クーパー『モヒカン族の最後』
5 エドガー・アラン・ポー「アッシャー家の没落」
6 ラルフ・ウォルドー・エマソン『自然』
7 ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『ウォールデン 森の生活』
8 ナサニエル・ホーソーン『緋文字』
9 ハーマン・メルヴィル『白鯨』
10 ハーマン・メルヴィル「書記バートルビー」
11 フレデリック・ダグラス『フレデリック・ダグラス自伝──アメリカの奴隷』
12 ハリエット・ビーチャー・ストウ『アンクル・トムの小屋』
13 ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー「二番苅り」
14 ウォルト・ホイットマン『草の葉』
15 エミリ・ディキンスン「これは世界にむけた私の手紙です」
16 マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』
17 ヘンリー・ジェイムズ『大使たち』
18 ケイト・ショパン『目覚め』
19 スティーヴン・クレイン『街の女マギー』
20 ロバート・フロスト「雪の夜 森に立ち止まって」
21 セオドア・ドライサー『アメリカの悲劇』
22 イーディス・ウォートン『無垢の時代』
23 ウィラ・キャザー『教授の家』
24 シンクレア・ルイス『メイン・ストリート』
25 シャーウッド・アンダーソン『ワインズバーグ・オハイオ』
26 T・S・エリオット『プルーフロックとその他の観察』
27 エズラ・パウンド「地下鉄の駅にて」,「協定」
28 ハート・クレイン『橋』
29 エレン・グラスゴー『不毛の大地』
30 トマス・ウルフ『天使よ故郷を見よ』
31 F・スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』
32 アーネスト・ヘミングウェイ『われらの時代』
33 ウィリアム・フォークナー『響きと怒り』
34 ウィリアム・フォークナー『八月の光』
35 ジョン・スタインベック『怒りの葡萄』
36 ユードラ・ウェルティ『デルタの結婚式』
37 リチャード・ライト『アメリカの息子』
38 ラルフ・エリソン『見えない人間』
39 ゾラ・ニール・ハーストン『彼らの目は神を見ていた』
40 テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の電車』
41 アーサー・ミラー『セールスマンの死』
42 トルーマン・カポーティ『遠い声,遠い部屋』
43 J・D・サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』
44 バーナード・マラマッド「白痴が先だ」
45 レイモンド・カーヴァー「大聖堂」
46 カーソン・マッカラーズ『結婚式のメンバー』
47 フラナリー・オコナー「火の中の輪」
48 ヴラジーミル・ナボコフ『淡い焔』
49 ジェイムズ・ボールドウィン「サニーのブルース」
50 トニ・モリスン『ビラヴィド』
51 トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』
52 ポール・オースター『ムーン・パレス』
53 レスリー・マーモン・シルコウ『儀式』
54 コーマック・マッカーシー『ブラッド・メリディアン──西部の夕暮れの赤』
55 ゲーリー・スナイダー『終わりなき山河』
第Ⅲ部 アメリカ文学への新視点──豊穣な世界へ
一 人間の一生とアメリカ文学
1 子ども──アメリカのセルフイメージとのかかわり
2 ジェンダー──文学と社会のインターフェイス
3 愛──『グレート・ギャツビー』における〈異性愛〉と〈非・異性愛〉
4 友情──アメリカ文学を特徴づける理想的な絆
5 感傷──抑圧の回帰
6 結婚──文明化のくびき
7 家族──「あの夕陽」,告白
8 老い──「若さ」に執着するアメリカを逆照射する視点
二 社会/文化とアメリカ文学
1 人種──他者と贖罪
2 階級──階層上昇の夢と現実
3 お金──この流動的で信用ならないもの
4 都市──時代と共に変化する姿
5 近代──光と影,『響きと怒り』
6 戦争──民主主義国家の戦争という深刻な矛盾
7 宗教──アメリカ文学の根底に流れる思考の枠組み
8 スピリチュアリズム──霊との交信と社会改革
三 動植物とアメリカ文学
1 動物──文学に描かれた不条理な生
2 植物──時空を超えるライラックの香り
四 表象文化とアメリカ文学
1 絵画──アメリカ風景論の出発点
2 映画──原作との共鳴,新たな発見
3 音楽──文学と生活者の接地点
4 写真──リアリズムの座標軸
五 世界文学とアメリカ文学
1 イギリス文学から見た視点──アメリカ臭の出所とは?
2 フランス文学から見た視点──フォークナーの光
3 ドイツ文学から見た視点──大空のもとの自由と孤独
4 ラテンアメリカ文学から見た視点──もう一つの〈アメリカ〉
5 中国文学から見た視点──アメリカン・ドリームと「中国夢」
6 日本文学から見た視点──影響から交流へ
おわりに──これからのアメリカ文学研究
人物関係図
文献案内
事項索引
人名・作品(著作)名索引