シリーズ・16歳からの教養講座 1
高校生のための 人物に学ぶ日本の思想史
編:佐伯 啓思
監:公益財団法人国際高等研究所
監:高橋 義人
内容紹介
日本を代表する碩学が日本の思想史を知る上で欠かせない夏目漱石、森鷗外、宮沢賢治、三浦梅園、西田幾多郎、太宰治を語る。その人物の思想史の中での位置とは何か。そして西欧思想との葛藤のなかで、いかに超克しようとしたのか。何より現代を生きるわれわれにとって、その思想はいかなる意味を持つのかを探る。未来を担う高校生に届ける教養講座。
目次
はしがき
第1章 西洋の模倣を脱し、主体の確立を――夏目漱石に学ぶ(佐伯啓思)
1 漱石の思想形成
2 漱石が抱いた課題意識
3 漱石の哲学
4 漱石から学ぶに当たって、その視座
第2章 日本の個人主義――森鷗外に学ぶ(高橋義人)
1 不可解な個人主義
2 利己的個人主義と利他的個人主義
3 空車(むなぐるま)の個人主義
4 「無」の領域へ降りていこう
5 晩年の鷗外
第3章 「本当の幸い」を問うこと――宮沢賢治に学ぶ(田島正樹)
1 賢治の家庭環境と創作活動の起源
2 賢治作品における形而上学的「鉄道」の旅
3 「本当の神様」は、何処に
4 賢治の信仰
5 信仰の「優劣」を論じること
第4章 日本と世界を救う自然哲学――三浦梅園に学ぶ(小川晴久)
1 天地の人・三浦梅園とその人物像
2 梅園の生涯とその業績
3 命題から見る梅園の思想
4 次代の人間像を探る「天人の合」の実践
5 補論『玄語図』
第5章 「無」と日本思想の連関――西田幾多郎に学ぶ(佐伯啓思)
1 西洋化の時代に生きた西田と漱石の生涯
2 「西田哲学」誕生の背後にあるもの
3 西洋哲学の不十分性に挑む西田
4 「純粋経験」の概念を編み出した西田
5 「西田哲学」から、日本のあり方を展望する
6 日本人のための「西田哲学」
7 グローバル競争の中で「西田哲学」を考える
第6章 友情と革命的暴力――太宰治と夏目漱石に学ぶ(田島正樹)
1 『走れメロス』における「友情」を論じる
2 『坊ちゃん』における「友情」を論じる
3 補論『斜陽』における「恋と革命」
人名・事項索引