序 章 人口と健康の世界史(秋田 茂・脇村孝平)
1 新しい感染症と「人類史の現在」
2 人口の世界史──「人口転換」論を超えて
3 健康の世界史──「疫学的転換」論を超えて
4 戦後アジアの国際秩序とグローバル・ヘルス
第Ⅰ部 人口の世界史──「人口転換」論を超えて
第1章 狩猟採集社会の人口学的分析(木下太志)
1 狩猟採集民とはどのような人たちか
2 研究のための二つのアプローチ
3 自然環境・疾病・死亡
4 出 生
5 人口増加を抑制するためのメカニズム
6 狩猟採集民の死亡・出生・人口
第2章 近代に向かう人口と環境──ヨーロッパ、特にドイツを中心に(村山 聡)
1 近代移行期の環境史
2 近世近代ドイツにおける乳児死亡率の地域性
3 ドイツにおける二つの社会生態系ネットワーク
4 近代移行期における生命空間の多様性
第3章 近世日本の人口戦略(友部謙一)
1 問題の所在──村請制・主体均衡・生活環境
2 近世日本農村の婚姻出生力(推計)から見えてくるもの
3 近世日本農村における婚姻出生力の形成要因──近代日本の流産・死産・感染症(梅毒・結核)・乳児死亡研究から
コラム1 梅 毒(宮崎千穂)
第4章 アイルランド大飢饉──19世紀北大西洋世界への位置づけ(勝田俊輔)
1 アイルランド大飢饉の歴史認識・研究動向
2 ジャガイモとアイルランド大飢饉
3 北大西洋世界とアイルランド大飢饉
4 大飢饉150周年記念運動
5 課題と展望
第5章 ジェンダーとリプロダクションからみる中国の人口史──家父長制家族から一人っ子政策へ(小浜正子)
1 人口とジェンダー
2 前近代中国の人口動態と人口調節
3 近代中国における生殖と民族
4 中華人民共和国の人口政策──計画出産から一人っ子政策へ
5 一人っ子政策の終了と少子高齢社会の到来
第6章 現代アジアの少子高齢化(大泉啓一郎)
1 変わるアジアの人口構成
2 世界人口とアジア
3 人口動態と経済成長
4 人口高齢化と社会保障
第Ⅱ部 健康の世界史──「疫学的転換」論を超えて
第7章 疫病と公衆衛生の歴史──西欧と日本(永島 剛)
1 疫学的な時代区分
2 疫病史の視角
3 公衆衛生の形成
4 疫病減少の時代?
コラム2 ペスト(竹田美文)
第8章 工業化・都市化と結核(花島誠人)
1 世界史の中の結核
2 近代における結核死亡率
3 戦間期日本の死因別死亡率の時系列推移
4 都市化と結核死亡率
5 近代日本の工業化と結核
6 石原修の『女工と結核』
7 労働移動と帯患帰郷
8 絹・綿・結核
9 工業化・都市化・結核──再考『女工と結核』
第9章 ハンセン病者の社会史──日本の〈近代化〉の中で(廣川和花)
1 近代日本のハンセン病史──研究状況と課題
2 近世日本におけるハンセン病者の存在形態
3 身分制の解体とハンセン病者にとっての〈近代化〉
4 明治前期東京のハンセン病者
5 日本のハンセン病者にとって〈近代化〉とは何であったか
第10章 精神医療の歴史学とその射程──医のまなざしと病者の主体性、バイオとソーシャルをめぐって(高林陽展)
1 精神医療史をめぐる二つの論点
2 医のまなざしと精神疾患当事者の主体性
3 精神医療史のバイオとソーシャル
4 精神医療史のこれから
第11章 眠り病と熱帯アフリカ──近代医学の描く「文明」と「自然」(磯部裕幸)
1 「帝国医学」と植民地支配
2 眠り病対策における「環境主義的アプローチ」の展開
3 眠り病対策における「病因病理学=薬学的アプローチ」の展開
4 「顧みられない熱帯病」という問題
第12章 コレラと公衆衛生──帝国植民地の比較史(千葉芳広)
1 課題と方法──近代南・東南アジアにおけるイギリスとアメリカ
2 19世紀以降のアジアにおけるコレラ・パンデミックの位相
3 イギリス植民地における帝国医療──インド・ビルマ・マラヤの事例
4 アメリカ統治下フィリピンの帝国医療
5 帝国医療と政治経済
第13章 フィラリアの制圧と20世紀日本の熱帯医学──風土病の制圧から国際保健へ(飯島 渉)
1 熱帯医学とフィラリア
2 日本におけるフィラリアの発見
3 風土病との闘い
4 沖縄と韓国への展開
5 国際保健への展開
6 21世紀のフィラリア対策
第14章 「帝国医療」から「グローバル・ヘルス」へ──マラリア対策に焦点を合わせて(脇村孝平)
1 グローバル・ヘルスの歴史的起源
2 両大戦間期および戦時期のマラリア対策
3 「マラリア根絶計画」(MEP)(1955~69年)
4 「マラリア根絶計画」(MEP)とサブサハラ・アフリカ
5 「マラリア根絶計画」(MEP)以後
6 マラリアは根絶しうるか
コラム3 感染症対策におけるCDCの大きな存在感(加藤茂孝)
人名・事項索引