序 章 家司の世界への招待(中脇 聖)
第Ⅰ部 家司の身分と役割
第一章 家司の発生と展開──古代から院政期まで(樋口健太郎)
1 「権門体制論」と家司
2 家司の発生
3 受領家司の時代
4 荘園支配の展開と家司
5 院政期摂関家と実務官僚家司
6 古代から中世へ
第二章 家司になった人々──日野家の家司を中心に(菅原正子)
1 室町幕府将軍家の姻族日野家
2 日野家の家司たち
3 荘園の経営と家司
第三章 山科家家司・大沢久守──多芸多才な補佐役(神田裕理)
1 「装束の家」山科家
2 山科家を支えた家司
3 天皇の御服作成
4 家産の管理に携わる久守
5 在地武士としての顔も持つ久守
6 「たて花」の名手としての久守
7 山科家の危機と再生
第四章 年中行事からみた家司──摂関家に仕える人々(遠藤珠紀)
1 摂関家の家司
2 摂関家の年中行事
3 中級公家の家司としての勤仕
4 下級官人による勤仕
第Ⅱ部 中世摂関家と家司
第五章 成長・台頭する家司と摂関家──保元の乱から鎌倉時代まで(樋口健太郎)
1 摂関家分裂の時代
2 保元の乱から平氏政権へ
3 成長する家司たち
4 五摂家分立と執事
5 鎌倉後期の摂関家と家礼・家司
6 変化する主従関係
第六章 戦国期、近衛家の家政職員──進藤・北小路両家を中心に(湯川敏治)
1 家司について
2 家政職員の仕事
3 「家政職員」の収入
4 近衛家の「家政職員」と戦国期の公家社会
第七章 信濃小路長盛と戦国の九条家三代──下向・不如意・出奔(岩本潤一)
1 醍醐源氏から信濃小路氏へ
2 九条政基の下向──「悉皆(しっかい)、無為無事(ぶいぶじ)の様に申し入るべし」
3 九条尚経の不如意(ふにょい)──「借書をも急度(きっと)御届(おとどけ)候(そうろう)て進上あるべし」
4 九条稙通の出奔──「当御(とうご)家門(かもん)、藤氏(とうし)御嫡(おんちゃく)流(りゅう)に紛れず」
5 その後の信濃小路長盛
第八章 摂関一条家と土佐一条家に仕えた「家司」──その顔ぶれと動き(中脇 聖)
1 一条家「家司」の特徴
2 一条家「家司」の顔ぶれ
3 一条冬良の薨去と「家司」の動揺
4 土佐在国の「家司」たちの顔ぶれ
第Ⅲ部 中世以降の家司の姿
第九章 豊臣政権期の家司と官人──武家との相克から身分の保障へ(水野智之)
1 羽柴秀吉の台頭と公家社会
2 羽柴秀吉の関白就任と公家社会
3 聚楽第行幸と公家社会
第十章 近世堂上公家の家司──久世家を事例に(西村慎太郎)
1 近世堂上公家家司の概要
2 文化十年の久世家の人々
3 堂上公家家司の役割
4 久世家を支える女性家司・中番・下部・板元
5 久世家の家政組織の全体像
第十一章 近世公家の家内騒動と家司──摂家・清華家を中心に(田中暁龍)
1 近世公家の騒動と家司
2 清華・今出川家の家内騒動と家司
3 摂家・一条家の家内騒動と家司
第十二章 近世の公武間交際と二条家の家司──加賀藩前田家との関係を事例に(千葉拓真)
1 近世の公武間交際について
2 近世後期における二条家の家司たち
3 加賀藩前田家との縁組・交際と家司たち
4 二条家への助力金と家司
5 前田家の家督相続と二条家の家司
6 近世における前田家と二条家──両家の交際を支えた家司たち
巻末資料
あとがき(生駒哲郎)
人名索引