まえがき
第Ⅰ部 総説・平安朝物語文学とは何か
第一章 『竹取物語』=物語文学の範例
1 偽装の口承物語
2 「き」と「けり」の弁別──『竹取物語』の自己言及
3 再び偽装の口承物語について
第二章 再び物語文学の範例『竹取物語』について
1 物語文学をめぐる問題域
2 「不死の薬」「文」の焼却──パロールへの還元 不死の薬=文 かぐや姫が残した二通の手紙
第三章 光源氏晩年物語から『狭衣物語』、そして『いはでしのぶ物語』
1 エクリチュールの論理の擡頭と世界の解体
2 エクリチュールと語りの忘却
第四章 ジャック・デリダの「原エクリチュール」について
1 物語音読論批評
2 仮名文(漢文)に潜在するエクリチュール(パロール)
3 西洋/日本
第Ⅱ部 光源氏晩年物語──エクリチュールの論理の擡頭と世界の解体
第五章 光源氏晩年物語入門──編年体というエクリチュール
1 「若菜」上巻の編年体
2 「若菜」下巻の編年体
3 編年体──内在化された外的時間
4 「柏木」から「幻」巻の時間
5 主人公(?)は誰か
第六章 女三の宮降嫁決定の論理──歴史的時空間の成立
1 晩年の源氏──抑圧された過去は回帰する
2 晩年の朱雀院──抑圧された過去は回帰する
3 対話の言葉──先例主義というエクリチュール
第七章 源氏四十賀の記録というエクリチュール
1 算賀と歴史
2 歴史以上の歴史──編年体・対話体・記録体
第八章 明石一族の歴史の完成
1 女系三代とエクリチュール
2 入道の遺言というエクリチュール
3 事後的(?)な夢語り
4 住吉社参詣──明石一族物語の完結
第九章 女楽とエクリチュール──光源氏世界最後の光芒
1 女楽──「若菜」世界の転換点
2 降った時代の音楽会
3 花の喩(屍花)・女性遍歴史というエクリチュール
第十章 晩年の紫の上
1 手習というエクリチュール
2 紫の上とその分身たち
3 物の怪の正体は
4 物の怪の言葉=死者たちのエクリチュール
第十一章 柏木対源氏──二つのエクリチュールの相克の物語
1 柏木恋文の宛先は源氏──抑圧された過去は回帰する
2 源氏の柏木への『藤氏蹴鞠記』執筆依頼
第十二章 柏木の先例主義──二番煎じの「むかし男」
1 『伊勢物語』への偏愛──虚無感とアナーキズム
2 女三の宮とのディスコミュニケーション
3 男による男のための物語文学
第十三章 エクリチュールの人柏木の死とその遺産
1 唐猫というエクリチュール
2 「脚」の欠損から「手」の欠損へ
3 届いた所が宛先 差出人は自分
第十四章 女三の宮という不気味なるもの
1 「幼さ」というかき込み不能
2 かき込み不能というかき込み
第十五章 アーキビストの夕霧
1 夕霧物語──柏木物語の転倒(その一)
2 夕霧物語──柏木物語の転倒(その二)
3 一条御息所の文・落葉の宮の手習
4 夕霧物語の絶対的新しさ
5 夕霧対源氏──横笛というエクリチュール
第十六章 「幻」巻──エクリチュールの終焉とその残余
1 「幻」巻の時間
2 文の火葬
3 二つの『竹取物語』引用
第Ⅲ部 『狭衣物語』──エクリチュールと語りの忘却
第十七章 回想とエクリチュール
1 独詠歌=物語構成の基本単位
2 狭衣物語的エクリチュールの数々
第十八章 モノローグの物語構造
1 独詠歌の立聞きというモノローグ
2 噂の言葉というモノローグ
3 神託の言葉というモノローグ
第十九章 偽装の偽装 物語文学のための物語文学
1 『狭衣物語』の自己言及
2 新たに語ることは何もない
第二十章 再び物語冒頭部「少年の春は…」について
1 引用断片へのフェティシズム
2 美文の構造
注
その他の主要参考文献
あとがきにかえて
事項索引
人名索引