はじめに
序 章 DV被害者はどのように捉えられてきたのか――先行研究の検討から
1 当事者の経験と先行研究
2 強みとプロセスへの着目――DV被害からの「脱却」のプロセスモデル構築
第1章 DV被害者支援の現状
1 DVとは何か――暴力による支配とその影響
2 DV問題の可視化――わが国の対応の遅れ
3 DV防止法による対応と他の虐待防止法との相違――本人の意思に基づく支援
4 DV被害者支援に関する現状の課題――法律・実践現場・児童虐待・研究
第2章 当事者の経験プロセスを知る――M-GTAを用いて
1 質的データの特性を活かす――データに根ざした分析から理論生成へ
2 M-GTAによる当事者の経験への接近――DV被害者26名の語りから
第3章 DV関係に陥るプロセス――なぜ離別できなくなるのか
1 ストーリーラインと分析結果図
2 《がんじがらめになっていく》プロセス
3 〈自己の譲り渡し〉
4 〈心理的絡みとられ〉と〈物理的がんじがらめ〉の巧みな進行
5 他者との経験からみる支援の役割
第4章 離別の決意に至るプロセス――どのような要因が「後押し」になったのか
1 ストーリーラインと分析結果図
2 《決定的底打ち実感に至る》プロセス
3 〈奪われる自己〉と〈生き続けている自己〉
4 限界感の再構成とターニングポイント
5 他者との経験からみる支援の役割
第5章 離脱の行動プロセス――いかにして関係から「離脱」したのか
1 ストーリーラインと分析結果図
2 《パワー転回行動》のプロセス
3 〈超自己の感得〉と〈自己のよみがえり〉
4 行動の急発進が導く不可欠資源の確保
5 他者との経験からみる支援の役割
第6章 生活の再生プロセス――いかにして新しい生活を築いていくのか
1 ストーリーラインと分析結果図
2 《大丈夫を増やしていく・大丈夫が増えていく》プロセス
3 〈喪失自己からの歩み〉
4 内外の痛みと脅かしの中で境界設定を完了させていく
5 他者との経験からみる支援の役割
第7章 「私」の新生プロセス――いかにして自らの人生を新たに生きていくのか
1 ストーリーラインと分析結果図
2 《大丈夫な私になっていく》プロセス
3 〈自己の確かさ〉と〈新たな自己〉
4 ゼロにはならないことの受け入れとPTG
5 他者との経験からみる支援の役割
第8章 被害者の経験プロセスを俯瞰する
1 DV被害者の経験プロセスを見通す
2 自己の変化・被害者認識の変化
3 DV被害からの「脱却」の促進――拮抗を力にする・レジリエンス・子ども
第9章 臨機応変な支援のための「ステージモデル」――複雑な構造を乗りこえるための枠組み
1 被害者の状況に応じた支援の必要性
2 「DV被害者支援のためのステージモデル」とは何か
3 ステージに着目した被害者への支援の視点
終 章 自治体への専門職配置とアドボケイトシステム――今後の支援システムへの展望
1 ステージを通した効果的な支援のために
2 本書の到達点
おわりに
参考文献
索 引