東南アジア現代政治入門[改訂版]
編:清水 一史
編:田村 慶子
編:横山 豪志
内容紹介
日本とも関係が深く、多様性にみちた東南アジアには、いかなる特色があるのだろうか。本書は、ブルネイを含む東南アジア11ヵ国を網羅し、各国の独立から国民国家建設、民主化、経済発展へといたる道筋をたどり、アジア経済危機のインパクトとその後の体制変動を明快に概観する。発展から取り残された、子どもや女性などの弱者にも目配りし、さまざまな角度から東南アジア地域を学ぶ面白さ、奥深さを味わえるテキスト。好評の旧版にブルネイを加え、各章も最新動向を反映した改訂版。
目次
改訂版へのはしがき
序 章 東南アジアを学ぶあなたへ(田村慶子)
1 欧米の植民地支配以前の東南アジア
2 近代国民国家の建設
コラム 知っているようで知らない? 東南アジアの人々の名前
第1章 インドネシア——「多様性の中の統一」を目指して(横山豪志)
1 独立への道のり
2 議会制民主主義期
3 指導される民主主義期
4 新秩序期
5 改革の時代
コラム 地震大国インドネシアの復興支援活動
第2章 マレーシア——「民族の政治」に基づく民主主義(篠崎香織)
1 マレーシア政治の特徴
2 民族別政党の形成
3 「民族の政治」の拡大と行き詰まり
4 「民族の政治」の仕切り直し
5 「民族の政治」とアイデンティティー
6 「ポリティカル・ツナミ」
7 「民族の政治」の行方
コラム 「もう1つのマレーシア」とヤスミン・アフマド監督作品……………61
第3章 フィリピン——「争われる民主主義」の挑戦(日下 渉)
1 植民地主義下の国家建設と国民形成
2 エリート支配の確立と動揺
3 豊かさを模索する政治の試練
4 市民と家父長のナショナリズム
5 「争われる民主主義」の挑戦
コラム 都市貧困層の視点から見たフィリピン政治
第4章 シンガポール——「超管理国家」の繁栄とジレンマ(田村慶子)
1 ラッフルズによる建設と植民地支配の「遺産」
2 突然の独立へ
3 新たなる国民国家の創造
4 進まない民主化
5 シンガポールは何処へ
コラム 活発化するNGO活動
第5章 タ イ——「国王を元首とする民主主義」国家(永井史男)
1 タイ政治をどう理解するか
2 「官僚政体」下のタイ政治
3 タイ政治の多元化
4 アジア経済危機後のタイ政治
コラム 地方分権と社会福祉
第6章 ベトナム——社会主義国家の生きる道(遠藤 聡)
1 国民国家建設の過程
2 「戦争の国」から「平和な国」へ
3 ベトナムの社会主義
4 現代ベトナムにおける展望と課題
コラム 投票率99%の民主主義
第7章 ラオス——成熟する人民革命党支配(山田紀彦)
1 独立闘争とラオス人民民主共和国の誕生
2 戦後復興と国家の土台作り
3 進む経済開発
4 人民革命党による体制維持戦略
コラム 村長選挙の実態
第8章 カンボジア——内戦の傷痕,復興の明暗(笹川秀夫)
1 独立への道程
2 サンクム時代(シハヌーク時代)のカンボジア
3 内戦と民主カンプチアによる圧政
4 新王国の成立と復興・開発
コラム アンコール遺跡の観光開発をめぐる政治
第9章 ミャンマー——人間関係で動く政治のジレンマ(伊野憲治)
1 ミャンマーの独立とアウンサン
2 ネーウィン体制下のミャンマー
3 民主化運動と軍政の再登場
コラム 人々にとってのアウンサンスーチー
第10章 ブルネイ——現代における絶対君主制国家の安定と改革(金子芳樹)
1 国家形成の過程——伝統的統治と西欧型制度の狭間で
2 政治体制と権力構造——国王(スルタン)専制の基盤
3 安定を支える国家・社会関係
4 政治改革のかすかな兆し——「上からのレフォルマシ」
5 急がれる経済改革,進まない民主化
コラム 現代に生きる「王様の中の王様」はジーンズ姿で国内行脚
第11章 東ティモール——21世紀最初の独立国家(山田 満)
1 独立獲得までの闘争史
2 フレテリン主導の国家建設
3 グスマン連立政権の政策
4 「紛争から繁栄へ」——開発重視に移行する東ティモール
コラム 東ティモールの3人の政治指導者とポルトガル語公用語化問題
第12章 ASEAN——世界政治経済の構造変化と地域協力の深化(清水一史)
1 ASEANの設立と協力の過程
2 冷戦構造の変化とアジア経済危機
3 ASEAN共同体への道
4 世界金融危機後の変化とASEAN
5 2015年末のAEC創設と新たな目標「AEC2025」
6 ASEANの課題
コラム ASEAN憲章とASEANのアイデンティティー
あとがき
東南アジア関連年表
索 引