序
序 章 経済地理学のために
1 本書の狙い
2 学説史的な基礎づけの強化――第一の課題
3 方法論の再構成――第二の課題
4 「二視角の統一」に向けて――第三の課題
5 「現状分析」の知としての経済地理学
補註 「地理学的思考」について
第Ⅰ部 経済地理学の根本問題
第1章 地域構造論の新展開――「経済循環」視点の再検討に向けて
1 “地理的現実”の大転換
2 「経済の地域的循環」への着目
3 “産業論的パースペクティブ”の意義と問題点
4 経済循環の「空間的分岐」視点への転回
5 新展開の方向性
補註 限られた「資本財の転換可能性」が意味すること
第2章 経済地理学の「理論」についての考察――その位置づけをめぐって
1 アポリアとしての「理論」の位置づけ
2 「国民経済的視角」と「地域的視角」の統一という収斂方向
3 経済学と地理学の「学際領域の学問」ということの含意
4 理論と実証を結ぶもの――「経験的理論」としての地域構造論
5 経済地理学「復権」の条件
第3章 「未完のプロジェクト」としての地域構造論――市場社会における空間的組織化の構図
1 「地域」認識の革新を完遂するために
2 「経済循環」視点の徹底化が意味するもの
3 「二重運動」視点に基づく地域像の再検討
4 「空間的組織化」視点からみた市場社会における「地域」の生成
5 新しい“地理的現実”解明の鍵
第4章 サービス経済化の地理学――空間的組織化における「貯蔵」「輸送」「通信」の役割
1 “地理的現実”を変容させる二つの動力
2 サービス経済化をめぐる論議が迷走する理由
3 なぜ「貯蔵も輸送もできない」点を重視するか
4 経済循環の空間的組織化という視点
5 グローバル経済化への「対抗力」としての役割
第5章 「生産の地理学」を超えて――サービス経済化が地理学に問いかけているものは何か
1 「知識産業」に牽引されたサービス経済化
2 「認識論的障害」としての主導産業=「知識産業」説
3 “情報化社会”と“サービス社会”の「二重基調」
4 サービス経済化の地理的インパクト――「空間的組織化」論による解明
5 求められる経済循環の地理学への方向転換
第Ⅱ部 国土政策論の再構築
第6章 「マクロ空間政策」としての国土政策――「ボーダーレス・エコノミー」の歴史的位相
1 「プラザ合意」の意義
2 現代資本主義の空間的フレームワーク
3 「マクロ空間政策」の成立と展開
4 変容する“マクロ空間”
5 空間論的アプローチの重要性
第7章 政策現象としての地域開発――方法論的再検討に関する覚書
1 政策論研究の社会科学化に向けて
2 地域開発をめぐる研究の二方向
3 「実践的要求」から出発する研究スタイルの難点
4 「実践的要求の基礎に向けて分析を進める」研究スタイルへの転換
5 社会科学としての焦点は「政策形成」過程の解明にある
補註 「問題地域」論の基礎としての山中「問題性」論
第8章 「国土政策」研究における経済地理学の役割――「構造―問題―政策」図式による地域構造論の拡充
1 「理論・歴史・政策」説への疑念
2 政策論研究の現状
3 「展望的」政策研究が看過したもの
4 経済地理学からの逆照射
5 問題群への注目による「地域構造」把握の立体化
第9章 戦後日本における国土政策展開の初期条件――「開発主義」対「貿易主義」論争とは何だったのか
1 「理念」と「現実」という問題設定の難点
2 川島哲郎の「徹底した産業政策」説
3 敗戦後の日本経済――緊急避難的「自給化」の展開
4 復興軌道をめぐる議論の経緯――「開発主義」から「貿易主義」への転回
5 「負の遺産」によって規定された国土政策の展開方向
第10章 戦後高度成長期の立地政策――「全総計画」始動のバックグラウンドを読み解く
1 歴史的勃興期の主役「太平洋ベルト」
2 戦後立地政策の「揺籃期」
3 「太平洋ベルト」構想の登場――国民的関心事となった立地
4 全総計画ついに始動す――「拠点開発」構想という“解”
5 立地政策の有効性を裏づけた「キャッチアップ型」成長
終 章 経済地理学の基礎にあるもの
1 関係論的視座への収束
2 ブラーシュ地理学の“ミッシング・リンク”
3 なぜ経済学と地理学で世界の「見え方」が違うのか?
4 資本主義社会という対象の特殊性
5 経済地理学の基礎にあるもの
6 新しい“地理的現実”の解明に向けて
補註 政策論研究をめぐる社会科学的な態度について
附論 初期論稿二篇
初期論稿1 経済地理学の方法に問する覚書――矢田俊文の「地域構造」論をめぐって
1 はしがき
2 経済地理学の混迷と「パラダイム転換」
3 矢田「地域構造」論の意義と問題点
4 経済地理学研究の基準――資本主義の発展段階と「地域差の処理機構」
5 むすび
初期論稿2 「地域構造」分析・序説
1 はしがき
2 地域経済成長をめぐる諸説の検討
3 「地域構造」分析への転回と未決問題
4 経済基盤脱による「地域構造」論再構成の試み
5 むすび
補註 マルクスの「時間による空間の否定」について
附論解題
跋文
文献一覧
人名索引
事項索引