男性は何をどう悩むのか
男性専用相談窓口から見る心理と支援
編:濱田 智崇
編:『男』悩みのホットライン
内容紹介
社会の著しい変化のなかでより一層みられるという、男性ならではの「生きにくさ」。本書では男性心理や男性相談の基本的な解説にくわえ、「職場での人間関係」「夫婦関係」「性」の悩み、また「子育てをめぐる問題」といった男性特有の悩みを事例別に検討。日本で初めて男性専用相談窓口を開設した著者たちが、現代を生きる「男性」像に迫るとともに、具体的な支援のあり方を示す入門的指南書。
目次
第Ⅰ部 現代社会における「男性の問題」と男性相談
第1章 男性相談とは何か
1 男性相談の誕生
2 男性相談の基本姿勢
3 男性相談の相談員になることと男性性
4 つらいはずなのに相談しにくい男性
5 男性相談の広がりと現状
6 男性相談と男性優位の価値観
7 「男性相談」が時代遅れになるその日まで
第2章 男性相談とメンズリブ
1 男性相談とジェンダーの視点
2 男性相談のための女性相談入門
3 わが国の男性運動の歩み
4 男性相談とメンズリブの思い
5 男性相談の未来に向けて──男性とは誰のことか
第3章 女性支援者から見た男性相談
1 女性支援から見える男性
2 家族のなかの男性問題
3 加害と男性問題
4 労働と男性問題
5 女性支援と男性相談の連携の可能性
第4章 「男性問題」の時代と男性相談
1 日本の現状はどこから来ているか
2 現在の男性を取り巻く状況
3 男性のコミュニケーションと社会
4 日本社会を変えていくための男性相談
第Ⅱ部 男性相談の内容と相談対応の基本
第5章 男性相談に寄せられる内容
1 『男』悩みのホットラインに寄せられる相談
2 大阪市「男性の悩み相談」に寄せられる相談
3 男性の代表的な相談内容
第6章 男性相談から見える男性の心理
1 「かくあるべし」の縛り
2 感情よりも思考を優先する
3 コントロール幻想
4 優越感と不安感の間で
5 素直に言えないから振りかざす大義名分
6 「かくあるべし」を満たせず「悲劇のヒーロー」になる人も
7 社会的に強化される男らしさの鎧
第7章 男性に対する相談対応の基本
1 まず相談者とつながる
2 コミュニケーションと男性
3 「かくあるべし」を緩める
4 拾いにくい感情を拾う
5 「男の譲れぬ何か」を軽視しない
6 相談員は裁かない
7 無言電話やリピーターについて
第Ⅲ部 相談内容別に見る実際
第8章 性の悩み
1 性(セクシュアリティ)の相談のむずかしさ
2 セクシュアリティの多様性
3 セクシュアリティにまつわる悩みについて
4 セクシュアリティの相談の聴き方
5 セクシュアリティの多様性と自分を見つめ直す重要性
第9章 男性のライフサイクルと悩み
1 “ある男性の一生”から見るライフサイクル
2 ライフサイクルと生涯発達
3 ライフサイクル別に見る男性のさまざまな悩みと課題
4 男性のライフサイクルに通底する「男らしさ」の縛り
5 “ある男性の一生”をふり返って
第10章 男性の子育てと親子関係
1 「イクメン」になる/父親として存在する
2 父親の語りから見えてくるもの
3 子育てにまつわる気持ち
4 男性が父親になるとは
5 男性の考える父親像
6 「イクメン」の功罪
7 男性が子育てを語ることの意義
第11章 夫婦関係とDVの悩み
1 夫婦関係の悩み
2 DVの悩み
3 DV加害者からの相談
4 DV被害者からの相談
5 「闘い」の関係から「寄り添い」の関係へ
第12章 職場での人間関係
1 パワーゲーム
2 企業が男性に求めるもの
3 IT社会で働くということ
4 パワーハラスメント
5 男性と責任
6 ワーク・ライフ・バランスを目指して
巻末資料
1 男性相談を開設・運営するために必要なこと
2 大阪市立男女共同参画センターにおける男性相談の実践例
文 献
おわりに
索 引