はしがき
謝 辞
英語略称一覧
初出一覧
序 章 基本的用語と執筆アプローチならびに諸章の位置づけ
1 はじめに
2 「地域銀行」の用語および日米の現代の銀行産業組織の比較
3 本書における「比較史」の捉え方と「モノグラフ」という論文カテゴリー
4 「社会の基層」という視角、および「リレーションシップ・バンキングの担い手」という問題意識について
5 対象とする「問題」を核とした各章の相互関連と位置づけ
第1部 大恐慌期・戦時期における日米の地域銀行政策・業態の分岐
第1章 預金保険制度――小銀行政策の分岐点
1 はじめに――本章の問題意識と検討課題
2 米国1930年代初頭の銀行危機と連邦預金保険制度の発足
3 わが国における預金保険制度論議の欠如と銀行合同政策
4 結びに代えて――政策相違の要因として横たわる日・米の社会的基層の差異
第2章 小銀行独自の業界団体設立――「コミュニティ銀行業界」の制度的根幹保持の要求
1 はじめに――本章の検討課題ならびに依拠する資料
2 IBA設立の契機となった1920年代のミネソタ州銀行界における変化
3 IBAの設立と揺籃期の3年間―― 1933年Bank Holiday 直後まで
4 IBAのその後の展開―― 1933年夏~1960年代半ば
5 IBA史にかかる小括、および若干の考察――局地的・草の根的なロビー団体の存続・全米的展開を可能ならしめた要因
第3章 「統制経済」志向――戦前期銀行合同政策の背景
1 はじめに――本章の問題意識と検討課題
2 第一次世界大戦以降の「統制経済」にかかる政策潮流
3 「統制経済」と銀行合同政策との関連性の検討
第4章 「一県一行」主義――神戸銀行の成立・展開の事例
1 はじめに
2 神戸銀行発足直前の兵庫県下諸銀行の本店分布状況ならびに神戸銀行の前身7行の店舗網の位置づけ
3 銀行合同の進展による播州・兵和・全但3行の成立
4 戦時期までの県内諸地域の人口・産業動向と銀行戦略への影響
5 日本銀行の県下銀行合同構想と銀行間の店舗展開・業容拡大競争
6 神戸銀行による兵庫県下「実質的一県一行」の達成と継続する店舗配置上の桎梏
第5章 「地方銀行」の自覚の生成と銀行合同政策との相克――兵庫県下3銀行の蹉跌の事例
1 はじめに
2 前史―― 1940~1943年初:合同3行の成立と種々の合併構想
3 1943年秋~1944年初:県下合同3行の合併中止の経緯
4 1944年初~1944年9月初旬:5行合併「合意」発表に至る経緯
5 1944年9月中旬~1945年3月:合併協議会右往左往ののち「当局一任」で合併へ
6 小括――本章の2つの検討視座につき
第2部 金融危機以降の米国銀行制度と日本の地域銀行にかかる含意
第6章 「ウォールストリート」発の金融経済危機とコミュニティ銀行業界――ニューディール期銀行制度の持続と変貌ののちに
1 はじめに
2 戦後におけるニューディール期金融制度および単店銀行業界の変貌
3 サブプライム金融危機およびコミュニティ銀行業界との関連性
4 金融危機とそれに対する政策対応が惹起した金融規制改革論議とコミュニティ銀行業界の発言の活発化
5 結びに代えて――コミュニティ銀行家たちの「話し振り」に見る米国の「社会的基層」
コラム 米国の小銀行の破綻劇に思う協同組織金融機関制度の意義――サブプライム・ローン問題に巻き込まれた「株式会社銀行」の末路
第7章 小銀行業界団体の制度的環境に対する自律的働きかけ――ドッド=フランク法制定過程とICBA
1 はじめに
2 ドッド=フランク法制定過程の概略と大規模な改革案の打ち上げを可能ならしめた「政策の窓」
3 2009年の政策過程とICBA・ABAのスタンス・動き
4 「政策の窓」の推進力の再加速とドッド=フランク法の成立まで―― 2010年1―7月
5 小 括――3つの視点から
第8章 ニューディール期金融制度の評価――金融論壇の金融危機後の変化
1 はじめに
2 ユニット・バンクのプレゼンス低下にもかかわらず金融システム危機がなぜ起こったか
3 “Too-big-to-fail”諸銀行の救済が起こったことを踏まえての預金保険制度その他金融制度のあり方に関する提案
4 本章のまとめと結語
終 章 地方銀行業態が残った日本とコミュニティ銀行業界が残った米国と――「リレーションシップ・バンキングの担い手」という観点から
1 はじめに――本章の問題意識、構成、および検討課題
2 わが国の現在との連接①:「一県一行都銀」の帰結――神戸銀行、太陽神戸銀行、さくら銀行、そして三井住友銀行
3 わが国の現在との連接②:地方銀行の業界団体の戦中・戦後および米国ICBAとの比較
4 「リレーションシップ・バンキングの担い手」をより充実させるために
5 結びに代えて――業態および個々の地方銀行の「組織の記憶」
引用文献等
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