はじめに──リスクマネジメントの流れのなかから
序 章 リスクマネジメントの基本フレーム
1 リスクマネジメントの本質
2 決断こそリスクマネジメントの原点
3 リスクとリスクマネジメントの意義
4 リスクの要素
5 危機管理とリスクマネジメントの考え方
6 リスクマネジメントの国際規格
7 リスクマネジメントのプロセス
8 リスクマネジメントの2つのC
9 ジレンマにおける決断
第1章 危機管理とリーダーシップ
[ケース 1]タイレノール事件と経営トップの対応――ジョンソン・エンド・ジョンソン(アメリカ)
1 看板商品の信頼を揺るがした危機
2 経営理念に基づき、企業の社会的責任を果たす
3 都合の悪い事実の否認が、企業を凋落させる
4 事件の再発と経営トップがみせた対話の姿勢
[ケース 2]日産・三菱自動車の再建とゴーン流危機管理――日産・三菱自動車(日本)
1 カルロス・ゴーンのリスクマネジメント
2 ミシュラン、ルノーでそれぞれ手腕を発揮し、日産へ
3 ゴーン流危機管理術とは
4 三菱自動車の立て直しに向け、再度立ち上がるゴーン
[ケース 3]雪印による集団食中毒事件と経営トップの失態――旧雪印乳業(日本)
1 タイレノール事件とは対照的な失敗事例
2 大阪工場の低脂肪乳で1万4000人超に被害
3 大樹工場の停電と現場の対応
4 トップの意識が社風を醸成し、リスクを生みだす
第2章 経営者リスクとマネジメント
[ケース 4]大王製紙の特別背任事件から学ぶ経営者リスクと対策――大王製紙(日本)
1 国内第3位の規模を誇った製紙会社に起こった不祥事
2 100億円以上を不正に貸付
3 会計監査人、監査役の姿勢にも問題
4 経営者リスクに対する亀井利明の提言
[ケース 5]東芝の不正会計問題と当事者のあるべき姿勢――東芝(日本)
1 企業統治の優等生といわれた会社の不正会計事件
2 不正会計が次々に露呈、修正金額は2000億円超に
3 目先の業績を重視し、保身に終始した顚末
4 収益性の背後に潜み、見失っていた原子力リスク
5 経営陣を刷新し、信頼回復めざす
第3章 事業承継とリスクマネジメント
[ケース 6]大塚家具の経営権をめぐる一連の騒動と対立――大塚家具(日本)
1 経営権をめぐり親子が対立
2 対立は法廷へ、現在も続く対立
3 超長寿企業の多くは「ファミリー経営」
[ケース 7]モンダヴィのフランス撤退と事業承継への影響――ロバート・モンダヴィ・ワイナリー(アメリカ)
1 事業継承の失敗
2 企業買収とグローバル化
3 反対勢力の台頭とモンダヴィの撤退
4 事業承継でも明暗を分けた両者
5 フランスにおける中小企業への事業承継政策
[ケース 8]日本の老舗企業における事業承継の事例
1 後継者不足による廃業のリスク
2 一人一業かつ長子相続にこだわらず「300年企業」に
3 大阪の企業家から学ぶ事業承継とリスクマネジメント
第4章 健康経営とリスクマネジメント
[ケース 9]サンスターの 「健康道場」 を中心とした全社取り組み――サンスター(日本)
1 社員の健康リスクを会社として回避する
2 健康バランスを取り戻す宿泊指導プログラム
3 口腔ケアによる健康リスクマネジメントの提唱
[ケース 10]中小企業経営者のメンタルヘルス――日仏の事例
1 ストレスチェック制度とリスクマネジメント
2 メンタルヘルスを伝統的リスクマネジメント理論で考える
3 中小企業経営者の健康問題
第5章 大地震の発生と企業のリスクマネジメント
[ケース 11]阪神・淡路、東日本大震災の発生とリスク対応
1 地震大国日本における災害リスク
2 阪神・淡路、東日本大震災が企業経営に及ぼした影響
3 カルロス・ゴーンによる日産のリスクマネジメント体制
4 ジャスト・イン・タイム方式を揺るがした「災害」
5 3・11で浮き彫りとなったリスクマネジメント上の課題と教訓
6 TEDxTohokuにみるリーダーたちの群像
[ケース 12]熊本地震と企業のBCP対応――ルネサスエレクトロニクス(日本)など
1 2016年に九州で発生した地震
2 中小企業BCPの意義
第6章 情報管理に関するリスクマネジメント
[ケース 13]ベネッセコーポレーションにおける情報管理体制――ベネッセコーポレーション(日本)
1 データベースからの個人情報漏えい事件
2 流出元は「グループ会社が業務委託していた会社の元社員」
3 性善説に基づく対応の不備
4 不明確な責任所在と情報に対する軽視
5 一番重要なものを守るためのリスクマネジメントを
[ケース 14]日本年金機構へのサイバー攻撃と対応の失敗――日本年金機構(日本)
1 サイバー攻撃による個人情報流出問題
2 たった1台のウイルス感染で、125万件の個人情報が流出
3 個人レベルで済まない「情報セキュリティの知識不足」
4 リスク感性を高めるためにも特定・想定を
[ケース 15]みずほフィナンシャルグループにおける2度の大規模システム障害――みずほフィナンシャルグループ(日本)
1 メガバンクで発生したシステム障害
2 ベンダー、銀行とも「顧客不在」の議論が根底に
第7章 経営戦略に関するリスクマネジメント
[ケース 16]第一 三共による海外M&A事案とその教訓――第一三共(日本)
1 M&Aに備え統合を進める
2 ランバクシーの株価が一気に下落
3 「安全弁」の不備が損失を拡大
[ケース 17]新車の共同開発に踏み切ったルノーの決断と結果――ルノー(フランス)
1 リスクをとったルノー
2 戦略的提携に成功もマトラは操業停止に
3 投機的リスクは調査・確認のうえで保有する
第8章 企業の不正とリスクマネジメント
[ケース 18]フォルクスワーゲン・三菱自動車にみるデータ不正問題――フォルクスワーゲン(ドイツ)、三菱自動車(日本)
1 世界に突如広がったデータ不正疑惑
2 VWの翌年には三菱自動車がデータを改ざん
3 経営陣の判断がリスクに
[ケース 19]横浜マンションにおける大規模建て替え問題――三井不動産レジデンシャル、三井住友建設、旭化成建材(日本)
1 新築マンションの耐震性が意識されるなか発覚した事件
2 常識的に行われていたデータ流用
3 発注した側の責任
4 「リスクの特定(調査・分析)」の教育による意識改革が急務
[ケース 20]エンロンの不正会計問題とコーポレートガバナンス――エンロン(アメリカ)
1 インフラを扱う会社の不正問題
急成長は、レーガノミクスの規制緩和にあり
3 不正疑惑からわずか2か月で倒産へ
4 経営者のモラル欠如とソーシャルリスク
インタビュー・講演・関連年表
インタビュー・講演
スポーツによる地域イノベーションを決断(アルビレックス新潟 取締役会長 池田弘)
撤退の決断、勇気ある前進(アドバンスクリエイト 代表取締役 濱田佳治)
仕事への情熱こそが最大のリスクマネジメント(イヴレス 代表取締役社長 山川景子)
関連年表
おわりに
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