「叢書ソーシャル・キャピタル」刊行にあたって
まえがき
序 章 ソーシャル・キャピタルの登場と批判──本書のねらい(近藤克則)
1 日本の健康・福祉における研究・応用の経緯
2 ソーシャル・キャピタルへの批判
3 本書の構成と取り上げるリサーチ・クエスチョン
第Ⅰ部 健康・福祉領域における評価・研究方法論
第1章 地域単位の指標開発の試み(斉藤雅茂)
1 地域単位のソーシャル・キャピタルの測り方
2 指標の開発手順
3 個人単位の健康との関連──マルチレベル分析
4 地域診断指標への活用に向けて
5 ソーシャル・キャピタルの保護的影響と負の側面の可能性
第2章 マルチレベル分析(藤野善久・浅川 剛)
1 ソーシャル・キャピタル研究とマルチレベル分析の関係
2 マルチレベル分析とは何か
3 マルチレベル分析を用いた研究の種類
4 地域レベルのソーシャル・キャピタルの測定に関する課題
第3章 混合研究法(尾島俊之)
1 質的・量的情報の統合──混合研究法の意義
2 混合研究法の歴史
3 哲学的な前提
4 混合研究法のデザイン
5 質的な情報と量的な情報の統合方法
6 混合研究法の妥当性の確保
7 求められる創意工夫──より良い混合研究法を
第4章 介入研究(村山 陽・藤原佳典)
1 健康への社会的決定要因への介入
2 ソーシャル・キャピタルと健康の関係性
3 サロン事業への介入研究──武豊プロジェクト
4 世代間交流型介入研究──りぷりんとプロジェクト
5 持続的な地域への介入と理論モデルの確立
第5章 地域診断と効果評価(佐々木由理・宮國康弘・岡田栄作)
1 健康課題を把捉するための地域診断
2 地域診断とは何か
3 共感の醸成と施策の見直し──地域診断における「見える化」の意義
4 地域診断とソーシャル・キャピタル
5 求められる効果評価
6 市町村間・市町村内の比較──JAGESプロジェクトによる地域診断の活用
7 地域介入の手順・方法
8 地域診断による地域マネジメント──松浦市・武豊町の事例から
第Ⅱ部 テーマ別にみた実証研究
第6章 地域包括ケアとソーシャル・キャピタル──地域共生社会の実現に向けて(小坂 健)
1 地域包括ケアの概念
2 ソーシャル・キャピタルと地域包括ケア
3 「地域共生社会」を目指した地域包括ケアの深化
4 国を超えたポジティブ福祉へ
第7章 東日本大震災とソーシャル・キャピタル──減災に役立つ社会的な資源(相田 潤・近藤尚己)
1 注目される災害とソーシャル・キャピタル
2 災害のフェーズとソーシャル・キャピタルの役割
3 被災者の健康とソーシャル・キャピタル
4 ソフト面への対策の重要性
第8章 健康格差対策とソーシャル・キャピタル──公正な地域・社会づくりへの応用(近藤尚己)
1 健康格差にソーシャル・キャピタルの概念はどう役立つか
2 健康格差対策に向けた社会環境の改善
3 健康格差対策とソーシャル・キャピタル理論の接点
4 健康格差との関係に関するエビデンス
5 ソーシャル・キャピタルの概念の利用は注意深く
第9章 子どもとソーシャル・キャピタル──地域と親の関わりの影響(藤原武男)
1 子どもにとってのソーシャル・キャピタルとは何か
2 これまでの日本における研究から
3 今後必要な研究とは
第10章 行動科学とソーシャル・キャピタル──周りの人からの影響(高木大資)
1 健康関連行動の規定要因としてのソーシャル・キャピタル
2 ソーシャル・サポート
3 規範と情報による影響
4 「コミュニティ」の変容と、その健康関連行動への影響
5 オンライン「コミュニティ」による健康関連行動への影響
6 社会参加による行動への影響
7 社会的統制
8 行動科学的理論に基づいた実証研究の必要性
第11章 運動とソーシャル・キャピタル──運動の「手段」と「結果」の側面から(辻 大士・金森 悟)
1 「手段」と「結果」──運動をどう捉えるか
2 運動を誰かと一緒に行うことの影響
3 豊かなソーシャル・キャピタルは身体活動を高めるか
4 運動とソーシャル・キャピタル研究の今後の課題
第12章 地域での健康づくりとソーシャル・キャピタル──通いの場に着目した取り組み(竹田徳則)
1 ハイリスク戦略からポピュレーション戦略へ
2 介護予防
3 通いの場の実施状況
4 通いの場参加者の要介護リスク者の割合
5 通いの場参加に伴う介護予防効果
6 通いの場とソーシャル・キャピタル
第13章 職域での健康づくりとソーシャル・キャピタル──疫学研究の到達点と課題(井上彰臣・高尾総司)
1 労働時間の増加と成果主義の導入
2 自記式評価尺度
3 日本における疫学研究の到達点
4 縦断研究の推進とマルチレベル分析による検討──今後の研究の課題と方向性
終 章 実証研究の到達点と応用のための課題(近藤克則)
1 研究にもいろいろ──「ある論」「べき論」「する論」
2 実践研究上の課題
3 応用上の課題
4 win-winの関係構築で前進を
索 引