本書刊行にあたって
序 章 労働雇用問題がなぜ現代日本で最重要課題なのか?
――過去100年の歴史を遡り考える(岸-金堂玲子)
1 ILO(国際労働機関)の理念とわが国の現状
2 日本の過去の労働安全衛生の歴史は何を示しているのか?
3 現代日本で特徴的な働く人の労働安全衛生の問題点
4 新しい制度改革の方向性を探る
第Ⅰ部 今、雇用の場で何が起こっているか?――働く人の実態
第1章 現代日本の長時間過重労働の実態とその背景(森岡孝二)
1 1980年代における過労死の社会問題化
2 若者の間に拡がる過労自殺
3 見かけの労働時間短縮と変わらぬ長時間労働
4 いまでも強固な働き方の男性正社員モデル
5 世界的にも異常な日本人の働きすぎ
第2章 過重労働と過労死をいかに防止するか(森岡孝二)
1 残業の上限規制を回避した政府の過重労働対策
2 1980年代後半以降の労働時間の規制緩和
3 正社員・正職員の絞り込みと非正規労働者の増加
4 戦前の工場法と戦後の労働基準法
5 制定された過労死防止法
第3章 ブラック企業の雇用実態と労務管理戦略(今野晴貴)
――労務管理と技能の階層差の視点から
1 劣悪な若年正社員雇用の広がり
2 事 例
3 「労務管理戦略」としての長時間労働
4 求められる対策――「有能な労働者の活躍」から「普通の労働者の保護」へ
第4章 非正規雇用労働者の安全・健康・権利(矢野栄二)
1 はじめに
2 非正規雇用の拡大の背景
3 非正規雇用が健康に及ぼす影響
4 非正規雇用による健康影響のエビデンス
5 解決の方向性
第5章 非正規雇用(和田 肇)
――労働法から見た問題点と今後の解決の方向性
1 非正規雇用の増加
2 不安定雇用
3 労働条件の格差
4 労働者派遣の問題
5 社会保険等の問題
6 課題と解決の方向
第Ⅱ部 職場の環境安全問題とリスク管理・マネジメント
第1章 日本の労働安全衛生統計・調査と予防活動(小木和孝)
1 労働安全衛生統計・調査による現状把握
2 職業病統計に見る予防課題
3 効果的な予防策に結びつく統計・調査へ
第2章 危険有害な労働環境の現状と今後の改善方策(久永直見)
1 危険有害な労働環境は減ったのか?
2 労働環境改善の課題
3 今後の改善方策
第3章 産業環境の変化と労働災害管理システム(草柳俊二)
――建設プロジェクトに見る労働環境改善への取り組みについて
1 わが国の労働災害の発生状況と変遷
2 建設産業の労働災害の状況
3 建設産業の重大災害の増加が語るもの
4 わが国の労働災害管理の実態
5 新しい労働環境整備システムに関する動き
6 おわりに
第4章 放射線作業者の健康と健康リスク管理(武林 亨)
1 健康リスク評価とリスク管理の枠組み
2 放射線作業従事者の健康リスク管理の体系とリスク評価
3 放射線作業従事者の健康リスク管理の実際
第5章 公害から見た労働者災害――アスベスト災害を中心に(宮本憲一)
1 公害の労災への衝撃――クボタ・ショックで顕在化した石綿災害
2 労災から公害へ――水俣病・イタイイタイ病などの教訓
第Ⅲ部 労働と関係する病気の予防と働く人の健康増進
第1章 労働関連疾患としての循環器疾患、糖尿病、不眠症などの実態、予防対策(吉岡英治/西條泰明/岸-金堂玲子)
1 労働者の健康状態の現状
2 労働関連疾患とは
3 長時間勤務と労働関連疾患
4 職業性ストレスと労働関連疾患
5 交代制勤務と労働関連疾患
6 労働関連疾患に関する今後の課題
第2章 印刷労働者の胆管がん多発はなぜ起こったのか
――化学物質による健康障害を防止するために(熊谷信二)
1 事件の発覚
2 経 緯
3 事業主の責任
4 必要な法律の改定
5 労働者の権利の明確化
6 結 語
第3章 職場のメンタルヘルス――現状と課題(川上憲人)
1 わが国の職場のメンタルヘルスの現状
2 わが国の職場のメンタルヘルスの課題
3 職場のメンタルヘルスの国際動向
4 わが国の職場のメンタルヘルス対策の新たな枠組みに向けて
第4章 これからの職場のメンタルヘルス対策(川上憲人)
――第1次予防への新しいアプローチと職場復帰への支援
1 職場のメンタルヘルスについての3つの課題
2 これからの職場のメンタルヘルス対策
3 次の20年に向けての方向性
第5章 女性労働者の健康と安全(北原照代/岸-金堂玲子)
1 わが国における女性労働の現状
2 女性に生じやすいあるいは女性特有の症状による労働生活の質(QWL: Quality of Working Life)への影響
3 労働が女性の健康・安全に及ぼす影響
4 働く女性が知っておきたい法律
第6章 働く高齢者の健康・安全──現状と課題(神代雅晴)
1 高齢社会到来――高齢労働の視点から日本の現状を探る
2 高齢労働社会に向けて必要とされる基本姿勢
――アクティブ・エィジング社会とプロダクティブ・エィジング社会づくりを
3 労働適応能力(ワークアビリティ)を評価する
――職務と職務能力とのミスマッチを防ぐ方法
4 ワークアビリティの評価
5 高齢労働者の快適職場づくり
第Ⅳ部 これからの職域保健サービスのあり方――重要な専門職の役割
第1章 労働安全衛生法体系と自主的改善のあり方(小木和孝)
1 安全・健康を一体化した包括的リスク管理体制
2 効果的な予防策実施の手順とそのサポート
3 労働者参加の担保策と自主的改善の推進
4 自主改善をすべての職場でサポートする職域保健サービス
第2章 産業医制度の歴史・現状・課題(堀江正知)
1 産業医制度の歴史
2 産業医の資格と養成
3 産業医の選任
4 産業医の職務
5 産業医の立場
6 産業医のあり方
第3章 産業看護職【制度】の歴史と課題(五十嵐千代)
1 産業看護職の歴史
2 公衆衛生看護を土台とした産業看護
3 産業看護職の教育制度
4 組織をアセスメントし健康支援できる能力
5 国際的動向と今後の課題
第4章 オキュペーショナルハイジニストの重要性(橋本晴男)
――日本でどう育てるか?
1 オキュペーショナルハイジニストとは
2 オキュペーショナルハイジニストに関する国内外の制度と実情
3 オキュペーショナルハイジニストの発達に関する内外の違いの理由
4 国内でオキュペーショナルハイジニストを育成し発展させるために
5 日本の労働衛生の将来とオキュペーショナルハイジニスト
第5章 それぞれの職場における産業技術職の活動・位置づけと教育訓練(酒井一博)
1 産業安全保健の推進にとって必要な視点
2 それぞれの職場における産業技術職の活動
3 改革の方向性
第6章 中小企業・小規模事業所における産業保健活動
――現状・課題と今後の方策(柴田英治)
1 中小企業の安全衛生の現状
2 組織化、安全衛生を担う諸機関の現状
3 中小企業の産業保健を推進するための課題
4 中小企業の産業保健を担う専門職とネットワーク
第7章 地域における産業保健活動の現状と課題、方策(宮下和久)
1 地域で働く人の安全と健康
2 働く人々の健康を守る体制小規模事業場の問題点
3 地域における産業保健活動の推進基盤の整備
4 諸外国の産業保健サービス
5 今後の対策
6 エビデンスに基づく地域産業保健活動のために
――労働衛生統計の整備と充実
第Ⅴ部 新しい取り組みの強化世界の潮流を踏まえてどのような改革と改善を進めるか?
第1章 未来の労働者の健康・安全・生活を守るために(森岡孝二/久永直見)
1 キャリア教育に欠ける労働安全衛生教育
2 長時間労働による健康障害と労働安全衛生の仕組み
3 働く前に知っておくべき労働知識
4 労働安全衛生の基礎を学校で
第2章 国際労働基準の日本での批准状況(吾郷眞一)
1 国際労働基準の重要性
2 現状と課題
3 解決の方向性
第3章 企業の労働CSR強化の方向性と労使関係の今後のあり方
――真に社会的パートナーになりうるには?(吾郷眞一)
1 CSRの現状
2 CSRの課題
3 解決の方向性
第4章 子育てと仕事の両立の現状と課題(小林章雄)
――ワークライフバランスと家庭生活・健康の向上に向けて
1 仕事と家庭の両立の現状と課題
2 雇用労働環境の不安定さと子どもの生活
3 ワークライフバランスと家庭生活・健康の向上に向けて
第5章 税・社会保障一体改革により、「逆機能」の解消を(大沢真理)
1 はじめに――生きにくい国ニッポン
2 分配の問題――雇用の非正規化とトリクル・ダウンの幻滅
3 女性の稼得力がとにかく弱い
4 日本だけの異常事態再分配が貧困を深める?
5 逆機能を解消する税・社会保障一体改革を
終 章 日本学術会議提言が実効あるものになるために
――生活に根ざした改革のグランドデザインを(岸-金堂玲子)
1 Healthier working life(より健康な労働生活)を国の健康政策の基本に
2 労働雇用問題解決のためには政策のグランドデザインを
3 森と湖の国(北欧フィンランド)で学んだこと
4 日本学術会議からの提言の後
資料 日本学術会議 労働雇用環境と働く人の生活・健康・安全委員会「提言 労働・雇用と安全衛生に関わるシステムの再構築を――働く人の健康で安寧な生活を確保するために」
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